ファイナンス 2023年1月号 No.686
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3国際通貨金融委員会(IMFC) (2022年10月13-14日)国際通貨金融委員会(IMFC)*3では、議長声明において、国連のロシアに対する非難決議を想起するとともに、ウクライナに対するロシアの戦争が甚大な人道的影響をもたらし、世界経済に有害な影響を及ぼし続けていることへの認識を表明した。IMFCの議長声明第46回目。2022年IMF・世界銀行グループ年次総会およびG20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要ファイナンス 2023 Jan. 14 *3) 国際通貨・金融システムに関する問題についてIMF総務会に助言及び報告することを目的として1999年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は*4) 途上国における効果的な政策実施につながる実効的な経済制度の構築等を図るため、技術支援と研修から構成されるIMFの能力開発等を支援する日本管理勘定。今回のG7においては、ウクライナのマルチェンコ財務大臣の参加を得て、ウクライナ支援やロシア非難で引き続き結束すること等を確認した。また、日本から為替についてG20と同様の説明を行い、会議後に発出された声明において、2022年に多くの通貨がボラティリティの増加を伴って大幅に変化したことの認識と、2017年5月に詳述された為替相場のコミットメントの再確認が明記された。以下、発出された共同声明の概要について紹介したい。まず、G7として、ウクライナへの支援とロシアのウクライナに対する侵略戦争への非難について結束を確認し、世界経済の重大な混乱を引き起こしている戦争の即時終結を求めた。同時に、一時的かつ的を絞った支援を通じて、戦争の国内外の影響を緩和するために引き続き協働すると表明した。また、G7は引き続きウクライナの緊急の短期的資金需要への対応を支援することに強くコミットした。2023年に多額の資金ギャップに直面するとし、ウクライナ復興支援のための、実効的かつ包摂的なプラットフォームを設置するための取組みを支持した。さらに、公的債権者グループとウクライナ政府により、2023年末までの債務支払猶予を実施するための覚書が、2022年9月14日に締結されたことを歓迎した。このイニシアティブは、同国政府と民間の国債保有者及びワラント債保有者との間の、2年間の債務支払猶予のための重要な合意を後押しした。その上で、全ての他の公的二国間債権者が、ウクライナとの間で債務支払猶予に迅速に合意することを求めた。この他、気候に関するハイレベル対話や、アフリカ諸国とのラウンドテーブルも行った。においても、G20やG7と同様、2022年に多くの通貨がボラティリティの増加を伴って大幅に変化したことを認識するとともに為替相場のコミットメントを再確認した。また、国際収支上の問題を抱える加盟国に対して、資金支援を提供するというIMFの重要な役割を再確認するとともに、RSTの稼働を歓迎し、2022年中の第一弾のRST支援プログラムへの期待を示した。2023年12月に期限を迎える第16次クォータ一般見直しについて、次の会合までに進捗を加速させることへの期待も表明した。日本から発出したステートメントでも、ロシアの侵略行為を厳しく非難するとともに、その行為が世界経済における困難を悪化させていることを指摘した。為替についても、G20、G7同様、ボラティリティが急激に高まり極めて憂慮していること、日本円に関して、投機的な動きも背景に、過去にないような急速で一方的な動きが見られたため、2011年以来の為替介入を実施したことを説明した。また、IMFへの期待として、世界的な食料不安を受け、IMFが新たに食料ショックウィンドウを設置したことを評価し、RSTの稼働を歓迎するとともに、RSTへの54億ドル相当のSDRの追加貢献を表明した。低所得国については、「共通枠組」の下、債権者委員会による迅速な債務措置実施が不可欠であり、脆弱な中所得国については、当該国自身による改革努力を前提に、全ての債権者等による債務持続可能性の回復に向けた協調が必要であるとし、債務データの透明性・正確性を高めるIMFの取組みへの期待を述べた。中央銀行デジタル通貨(CBDC)については金融安定性や資本フローへの影響、他国金融政策や国際通貨システムへのスピルオーバーへの理解の重要性を指摘するとともに、2022年4月に1,500万ドルの貢献を行った日本管理勘定(JSA)*4デジタルマネーウィンドウを通じ、IMFが各国のCBDCの検討状況の調査とリスク分析、実務者向けのハンドブック作成や能力開発等に取り組むことへの期待を表明した。

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