ファイナンス 2022年12月号 No.685
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で人口減少が課題となっています。久米島町では、離島留学生が町役場の職員に採用されるなど成果も現れており、空き家対策などによる移住・定住の取組のほか、同町ではPPP/PFIの官民連携に向けた取り組みも積極的に進めています。人口減少の課題を抱える自治体のフロントランナーとして今後の更なる取組を期待します。【島ぐらしコンシェルジュ拠点の古民家】 56 ファイナンス 2022 Dec.久米島町では、沖縄県内で一番多くの地域おこし協力隊員を採用(令和4年7月現在:16名)し、町内の各種課題に取り組んでいます。特に教育部門に力を入れており、2校の中学校にそれぞれ2名の支援員を配置しています。支援員は授業に追い付けない生徒が出ないようサポートを行いながら、放課後に生徒が自主的に通う「まなびや」(無料校内塾)を開講し、宿題や学期テスト、受験対策など幅広く支援を行っています。また、高校生向けの町営塾では、生徒一人一人の学力に見合った学習力向上へのアドバイスや生徒と向き合いながらの個人指導や集団講座、グループワーク等を通して学力向上に取り組んでいます。また、同協力隊の任期は3年間と決められていますが、首都圏域等から着任した協力隊員が任期終了後に久米島での起業や地元企業へ就職するなど定住に繋がるケースも少なくありません。また、本町では「空き家ハンドブック」を作成し、空き家バンクの登録をお知らせしています。移住者と家を貸したい方をマッチングさせるため、家主に空き家バンクへ登録を奨め、空き家を求めている方が家主との交渉が成立した場合に空き家改修費用の一部を助成する制度も設けています。援策も強化しています。久米島町には常駐の産婦人科医がおらず、出産時(35週6日までに)を迎えると島外へ出向いての出産となることから、二重生活の経済的負担軽減を図るため、本町では出産助成金の支給のほか1人当たり5万円の出産奨励金の支給を行っています。さらに、新婚生活支援事業として、結婚に伴う住居の取得、リフォーム、家賃の初期費用等の応援金として上限30万円を支給しています。また、移住・定住促進として、島の情報の一元化(住む・働く等)を図ることを目的に平成28年度に「島ぐらしコンシェルジュ」を古民家に設置し、移住への相談全般に対応しています。「島ぐらしコンシェルジュ」のメンバーは、地域おこし協力隊として沖縄県外から久米島に着任した方々です。移住に際しての悩みや不安、聞きたい情報を察知し、きめ細やかな対応のおかげで、「島ぐらしコンシェルジュ」を発足してから150組を移住に繋げた実績を上げています。移住をお考えの方、久米島ってどんな島なんだろう? など「島ぐらしコンシェルジュ」が丁寧にご説明いたしますのでお気軽にお問合せ下さい。TEL=098-894-6488(毎週月曜日休館日)離島自治体の新たな取組みに期待 沖縄総合事務局財務部理財課上席調査官 比嘉 則之人口が増加している沖縄県においても多くの離島久米島町3. 地域おこし協力隊員による無料校内塾や町営塾4.空き家対策久米島町は人口減少に伴い空き家が増加し、また、空き家を貸したくても位牌があるため、人に貸すことができない状況でした。そこで空き家対策として、位牌を預かる町営の納骨堂を建設したところ、利用者が増加し、空き家の解消に繋がっています。5.人口減少にSTOP✋人口減少に歯止めをかけるため、子育て世代への支

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