ファイナンス 2022年12月号 No.685
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■城県境町 町長橋本 正裕境町の財政指数(町資料より抜粋)境町の人口の社会動態(町資料より抜粋)境町の隈研吾建築 第7弾「(仮称)境町地域産業研究開発拠点施設」 50 ファイナンス 2022 Dec.私が境町長に就任した平成26年3月当時、境町の財政状況は常に悪く、将来負担比率は184.1%と危機的状況にありました。普通ならコスト削減や行政サービスの縮小・停止などを考える所ですが、夕張市の例では、緊縮財政は人口流出を招き衰退が加速しています。そこで、境町では収入を増やすことにしました。就任してすぐに、圏央道境古河IC周辺の開発と企業誘致、ふるさと納税、太陽光発電になど新しい収入源の開発に着手。その結果、ふるさと納税では平成25年度6万5,000円だった寄付が令和3年度には48億5,211万円、5年連続関東1位、茨城県内では7年連続1位となるまで成長しました。新しい財源の獲得により、町の財政状況はまだまだ厳しいものの、大幅に改善出来ています。1.はじめに境町は茨城県西南部にある小さなまちです。人口は約2万4,000人。鉄道の駅がなく、人口減少や少子高齢化の課題を抱える、どこにでもあるありふれた田舎町です。その境町に今、続々視察が訪れています。移住定住政策以外にも、新しい財源を活用して様々な取り組みを行っています。拠点整備も積極的に進めており、ここ数年の間に新国立競技場を設計した隈研吾氏の手による建築が6つ境町に完成、令和4年度中にもう1件完成する予定です。2. 自治体マネジメントによる持続可能なまちづくり「境町モデル」財政改善をはじめ、これまでの8年間で境町では様々な政策を展開しています。人口についても、移住定住政策に着手してから7年間のうち5年人口の社会動態がプラスに転じ、施策の効果が現れてきています。自治体マネジメントが作る持続可能なまち視察相次ぐ「境町モデル」のまちづくり境町

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