ファイナンス 2022年12月号 No.685
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36 ファイナンス 2022 Dec.本日の講演の流れですが、最初に自己紹介、次いで本日の主題である『山奥ビジネス』について、概要、3つのキーコンセプト、ビジネス事例2つと自治体事例1つ、次に「地方経済活性化のために」、最後に「『山奥ビジネス』の本に盛り込めなかったこと」の順でお話させていただきます。私は1963年生まれです。高度経済成長期を子供の頃に経験しました。小学校入学が1970年ですが、小学生になると物心が付いてきて、世の中がどうなってきているかが次第にわかるようになってきました。高度経済成長期にサラリーマンであった私の父親は毎日忙しそうにしていて、周りの人たちもそんな感じでした。社会人になったのが1986年なので、バブル期を若干経験して、その後の日本経済も経験しております。そのころに経験したことと今の「失われた30年」と言われる日本経済の停滞の状況から、これからどうやって日本経済、特に地方経済を活性化していけばいいのか、ということを私なりに考えるところがありまして、本日お話させていただきたいと思います。はじめに皆様こんにちは。経営エッセイストの藻谷ゆかりと申します。本日はたくさんの方にご参加いただき誠にありがとうございます。1.自己紹介私ども家族5人は2002年に長野県北きた御み牧まき村(現在では東とう御み市)に移住しました。移住した理由は子供3人をどう育てていくかを夫と話した際に、「都会の中学受験戦争が過激になっているので、これを経験させたくないね」というのが私たち夫婦の願いでした。そこで田舎に引っ越そう、ということになり2002年に移住したのです。夫の仕事の関係上、東京駅から新幹線で2時間以内のところに住むというのが条件です。いろいろ検討した結果、長野新幹線が通る長野県にしようということになり、佐久平駅と上田駅の間をターゲットにして探しておりましたところ、北御牧村に出会ったのです。「どうして北御牧村に決めたの?」とよく聞かれますが、「風景が素敵だったから」としか言いようがないのです。北御牧村は本当に何もない、なんでもない田舎ですが、一流の田舎なのです。田舎の定義はいろいろあるとは思いますが、「夕刊が来ない」「ガスが来ていない」「三階建ては役場と小中学校だけ」、そして「不動産屋がない」これは土地の売買は相続だけだからです。さらに北御牧村は「車庫証明が不要」なんですね。こんな田舎でも慣れれば何でもないですし、不自由を感じません。(1)高度経済成長期、バブル経済期を経験令和4年10月6日(木)開催(2)長野県北御牧村に移住(3)田舎の定義(4)経営エッセイストとして心がけていること私は「地方移住」と「起業」と「事業承継」を執筆のテーマにしており、私自身が経験したことを本に書いたり講演したりしています。経営エッセイストとし講師演題藻谷 ゆかり 氏(経営エッセイスト 巴創業塾主宰)地方経済の活性化策 『山奥ビジネス』の取材から令和4年度  上級管理セミナー

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