ファイナンス 2022年12月号 No.685
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200005101520253035401980859095(図表2)平均実質賃金の指数推移201820202016201420102012200820021998200020042006(注1)02年以降は「労働力調査(詳細集計)」(注2)1984年を起点とした増加数19941996199219901986198820202018201620142012200820102006200420022000199819961994199243210(図表4)男女別役職割合(図表6)男女別の家事関連時間の推移(万人)4,5004,0003,5003,0002,500(2020年=100)120110100901990(出所)総務省「労働力調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」「賃金構造基本統計調査」(出所)厚生労働省「令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査」、総務省「令和3年社会生活基本調査」、内閣府「令和3年度性別による無意識の思い込み(アンコン・労働力人口の減少が予想される中で(図表1)、女性の活躍が促されることは日本経済の成長にとって極めて重要である。一人当たりの平均実質賃金が下がっている中では(図表2)、世帯のすべての構成員の所得が上昇することで、家計の所得を高めることが期待される。・近年、女性の就業者数は継続して増加している。ただし、非正規雇用の割合が高く(図表3)、正規雇用においても管理職比率が非常に低い(図表4)。現状では、男女の就業形態や賃金に大きな差がある。(図表1)労働力人口の変化・女性の就業状況の特徴として、非正規雇用の割合が高いことや、管理職比率の低さを挙げたが、その背景について検討したい。・正社員以外の労働者における就業形態の選択理由を見ると、「家庭の事情(家事・育児・介護等)と両立しやすいから」という理由が女性においては全体の4割を占める最大の理由である一方で、男性においては1割未満に留まり(図表5)、家事・育児・介護等は女性が主体的に担うべきであるという性別役割意識が背景にあることが推察される。・実際に家事関連に費やす時間は依然として大きな男女差があり、妻が正規雇用である共働き世帯においてもその傾向は見られる(図表6)。また、「組織のリーダーは男性の方が向いている」「大きな商談や大事な交渉事は男性がやる方が良い」といった、職場における性別役割意識も存在し(図表7)、家事負担に加え、女性のキャリアアップの足枷となっている可能性がある。(図表5)正社員以外の労働者の現在の就業形態を選んだ理由50シャス・バイアス)に関する調査研究」男性(15~64歳)女性(15~64歳)家庭の事情(家事・育児・介護等)と両立しやすいから自分の都合のよい時間に働けるから家計の補助、学費等を得たいから通勤時間が短いから勤務時間や労働日数が短いから専門的な資格・技能を活かせるから自分で自由に使えるお金を得たいから正社員として働ける会社がなかったからより収入の多い仕事に従事したかったから他の活動(趣味・学習等)と両立しやすいから簡単な仕事で責任も少ないから就業調整をしたいから体力的に正社員として働けなかったから組織に縛られたくなかったからその他推計値男性・正規女性・正規男性・非正規女性・非正規(%)0102030(図表3)雇用形態別の就業者数の変化(万人)2,0001,8001,6001,4001,2001,0008006004002000▲200198440(時間/週)<男女全体>女性男性20012006201120162021育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない組織のリーダーは男性の方が向いている大きな商談や大事な交渉事は男性がやる方が良い受付、接客・応対(お茶出しなど)は女性の仕事だ職場での上司・同僚へのお茶くみは女性がする方が良い男性女性役職男性部長級915.3万円課長級777.7万円係長級642.1万円非役職486.5万円(注1)対象は一般労働者(雇用期間定めなし)。(注2)男女間賃金格差とは、男性=100としたときの女性の水準。(分/週)<正社員の男女(2021年)>600400200(%)0100女性割合年収女性748.0万円658.7万円546.6万円383.1万円男女間賃金格差81.78.8%13.2%84.721.3%85.139.8%78.7仕事家事関連時間女性(図表7)職場における性別役割意識男性203040男性女性 30 ファイナンス 2022 Dec.求められる女性の活躍女性活躍の障壁(1)性別役割意識大臣官房総合政策課 調査員 山口 晶子/伊藤 恭平本稿では、女性の活躍の障壁になっていると考えられる性別役割意識と男性の長時間労働について考察する。コラム 経済トレンド102日本における女性の活躍推進について

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