(注)文中、意見に係る部分は全て筆者の私見である。(参考文献)・欧州エネルギー規制協力庁(ACER)[2021]“ACERʼs Preliminary Assessment of Europeʼs high energy prices and the current wholesale electricity market design”・内閣府[2021]『世界経済の潮流2021年Ⅱ−中国の経済成長と貿易構造の変化−』・内閣府[2022]『世界経済の潮流2022年Ⅰ−世界経済の不確実性の高まりと物価上昇−』・各種報道、レポート等*2) EUは、加盟国に対し、2022年11月1日までに自国のガス貯蔵施設の8割のガス備蓄を義務付けていたが、9月中旬に目標を2カ月前倒しで達成した。 コラム 海外経済の潮流 142ファイナンス 2022 Dec. 294.おわりに天然ガス卸売価格は、9月以降下落に転じている。これは、欧州において、ガス需要の高まる冬場に向けたガス貯蔵が想定以上に順調に進んだこと*2や、価格高騰を受け、需要家である化学メーカーが生産設備の稼働を抑制するなど需要抑制の動きがあることから、足元の需給ひっ迫懸念が緩和されたためとみられている。しかし、欧州における冬場のガス消費量は夏の3倍程度である中で、今年の冬が厳冬になれば、在庫が急速に取り崩され、ひっ迫懸念が再燃する可能性もあることから、引き続き注視が必要である。
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