0 ▲10ファイナンス 2022 Dec. 27(注)コアはエネルギー、未加工食品を除いたもの。(出所)Eurostat(出所)Eurostat【図表2】ユーロ圏 消費者物価指数 エネルギーの内訳(前年同月比、%)1211109876543210▲1▲2エネルギー(寄与度)食品(寄与度)その他(寄与度)総合コア123456789102021その他(寄与度)車両用燃料等(寄与度)ガス(寄与度)電力(寄与度)エネルギー前年比50403020101234567891020211112123456789102022111212345678920222020/012020/072021/012021/072022/012022/07(注)値は、欧州における天然ガスの卸売価格として標準的なオランダTTFの価格。 (一か月先物価格)(出所)Bloomberg1110111.はじめにユーロ圏の2022年11月の消費者物価上昇率は前年同月比10.0%増となり、高インフレが継続している。主な要因はエネルギー価格の上昇であり、その内訳をみると、2022年に入ってからはガスと電気の寄与が大きく、足下では3分の2程度を占めている。まず、背景となる欧州の天然ガス卸売市場の特徴を確認する。欧州の天然ガスの卸売価格は、2010年以降、世界のガス市場の連結とガス取引ハブ(取引が集積し、価格の形成・発信が行われる拠点)の発展により、石油インデックス(石油価格に連動した価格)に基づく長期契約からスポット価格(市場における競争価格)への移行が進んだ。現在では、2010年の約3倍となる8割以上がスポット価格契約となっている。また、2021年における天然ガス輸入の国別構成比は、ロシアが39.7%と最も高く、すなわちロシアへの依存度が高い。こうした特徴を踏まえた上で卸売価格上昇の要因を確認すると、2021年中頃以降の上昇については、新型コロナウイルスにより制限されていた経済活動の再開による世界的なガス需要の拡大や、2021年4月~5月の気候が低温だったことによる冬場に向けたガス貯蔵の遅延といった天候による影響等により、需給がひっ迫してスポット価格が上昇したものと指摘されている。大臣官房総合政策課 海外経済調査係 山田 浩介本稿では、欧州におけるエネルギー価格の動向のうち、ガスと電気の価格上昇について、その要因と背景を確認する。【図表1】ユーロ圏 消費者物価指数上昇率(前年同月比、%)コラム 海外経済の潮流1422.ガス価格上昇の背景と要因ガス価格上昇の主な要因は卸売価格の上昇であり、欧州の天然ガス卸売価格は2021年中頃以降大きく上昇している。よってここでは、天然ガス卸売価格に焦点を当てる。【図表3】天然ガス卸売価格(ユーロ/メガワット時)4003002001000欧州におけるエネルギー価格の動向
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