ファイナンス 2022年11月号 No.684
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•税は、国民生活や経済社会と密接に関連。•税は、暮らしや社会に欠かせない公共サービスの財源。•納税は、憲法に定められた国民の義務。➢国民が教育を受け、勤労し、税を納め、持続可能な社会を作っていくことは民主国家の維持・発展にとって欠かせないこと。➢次代を担う児童・生徒等が、国の基本である税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し、国や社会の在り方を主体的に考えることは、民主国家の維持・発展にとって極めて重要。•租税教育は教育基本法の理念に基づいた教育である。資料10 租税教育の意義※教育基本法第1条「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」※同法第2条1項3号(教育の目標)「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」租税教育の重要性【国税当局からみた】国税庁の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」こと(平成年1月6日付財務省訓令第号)税について正しく理解してもらうためには、子供の頃から税の意義や役割について考えることが重要コロナ禍にあっても重要性は変わらない。継続的に租税教育を進めていく必要!(3)モデル事例の共有 40 ファイナンス 2022 Nov.室での使用を前提としたものであるため、これも、GIGAスクールPCでの利用を前提としたものに見直しを図っていく必要があるだろう。ICT活用型租税教育は、まだ緒についたばかりであり、モデル事例もまだ不足している。有効な取組みについては、今後も国税庁、国税局において情報を集約し、中央租推協の「租税教育の事例集」に追加する等の措置を検討していくべきであると考える。租税教育は、その重要性ゆえ、これまで小中高大と段階的に実施してきた。小学校、中学校、高校と継続5さいごに新型コロナによって、働き方や価値観も大きく変わってきたと言われるが、租税教育自体、その意義は変わることはなく、むしろシェアリング・エコノミーの進展等により申告納税手続きを必要とする納税者は今後も増えていくであろうし、租税教育の重要性は高まることはあっても、低下するものではないと考える(資料10)。的段階的に税について考える機会を設けることで、税の役割や意義をきちんと理解し、自立した納税者として社会に参画できるようになるものであるが(資料11)、コロナ禍において、中学以降の段階で、租税教室の開催が減少し、その回復が弱いこと、中学生・高校生の税の作文の応募件数も減少していることは残念なことである。この解決策として、ICT活用型の租税教室の開催は一つの方策であろう。もう一つの方策として、コラボ開催ということもある。最近は、租税教育だけでなく、財政教育、主権者教育、金融教育など、様々な社会教育の要請があるが、主権者教育、財政教育については、租税教育との親和性も高く、近年の厳しい財政状況を踏まえれば、財務局とのコラボ、選挙管理委員会とのコラボで租税教室を開催することで、相乗効果のある取組みが期待できる。このようなコラボ開催も実際に取組みが進んできており、今後、租税教育の魅力あるメニューの一つとして定着していくことが期待される。戦後の混乱期以降、70年以上にわたって、関係機関と連携し、各地で副教材を作成し、租税教室を開催してきたことで、租税教育が根付き、若い世代の税に

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