ファイナンス 2022年11月号 No.684
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小学生中学生*11) 文部科学省・前掲注9、78頁。リモート租税教室を受けた感想(自由記載)・絵やクイズ形式で丁寧に優しく教えてもらえたので、すごく分かりやすかった(同意見多数)・税金は要らないと思っていたが、税金はとても大切だと分かった(同意見多数)・税金が50種類もあって驚いた!学校では5種類くらいしか教わっていない(同意見多数)・税金を無駄にしないよう、毎日元気に学校に登校しようと思った・小学生1人当たりの年間費用が88万円と聞いて驚いた(同意見多数)・間接的だが自分たちが税金の使い道を決めていることが分かった・難しいクイズもあったけど、楽しく学べた・東京の人とリモートで税金の勉強ができて良かった・財務省に食堂やコンビニがあることに驚いた(食堂がおいしそうだった)・トラブルもなく接続できて良かった・リモートの授業が初めてで、ドキドキした・音声のラグがあったけど、タブレットに資料が大きく映るので見やすかった・とても分かりやすい説明だった・おもしろかった!ありがとうございます!・これから人のために税金を納めたい・霞が関に総務省などの省庁が集まっていることが分かった・「直接税」、「間接税」や「国税」、「地方税」の違いが分かった・チャットを使うことで、気軽に質問をすることができた・チャットで不必要なことを書く人が多くて、良くないと思った・説明内容や重要なことをチャットに打ち込むと、より分かりやす・初めてのリモートでトラブルもあったが、税について深く知る良くなると思うい機会になった・リモートなので、声が聞きにくい時があった・リモートの準備が大変だった(3)今後の方向性ることがメリットとしては挙げられるところである。改善点としては、準備の大変さなど技術的な面と、臨場感を欠く、というところに収斂されてくるようである(資料7)。資料7 霞ヶ関発リモート租税教室でのアンケート結果(児童の回答)技術面のデメリットについては、このようなリモート教室を経験していくことで、解消されるであろうし、またオンライン授業特有の臨場感に欠ける点については、チャットや挙手機能などをうまく使えば、逆に、個々の児童にダイレクトに届く面もある。改善点は、経験とともに解消されてくるはずである。新型コロナの影響を回避すべく、リアルタイムオンライン形式やオンデマンド方式の、非対面での租税教室の開催が進んできたが、今後、コロナの影響がなくなれば、あえて非対面にする必要性はなく、従前の対面型に戻ってくることも当然予想される。しかし、非対面方式での良かった点は、積極的に取り入れることにより、さらなる租税教育の充実に繋がるのではないかと考えるものである。今、現場から聞かれることの一つに、租税教室の開催の再開を希望する学校でも、従来のように、体育館 38 ファイナンス 2022 Nov.で一同に会して行う方式ではなく、それぞれの教室での開催の希望が増えているということがある。前述のとおり、少人数単位での開催が増えているということは、そのことの証左であろう。それぞれの教室での対面での租税教室開催となると、その学年のクラス数だけ租税教室の開催が必要になり、そうなると、これまで以上に、講師の手当て、あるいは講師の時間的拘束が必要になる可能性が高い。まだ租税教室開催回数自体が平常時ベースに戻っていないためこの問題は顕在化していないが、今後コロナ前の開催状況に回復してきた場合、考えていかなければいけない課題であり、そういう意味においても、複数教室をつないでの、オンラインでの租税教室開催は、一つの解決策ではないかと考える。また、対面型の租税教室を開催する場合においても、前述の例5ないし例8のように、GIGAスクールPCを利用してワークシートを共有するような方法は、かなり好評であり、今後、租税教室の手法の一つとして広がることが期待される。昨今、学校教育においては、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善が図られているが*11、租税教室においても、GIGAスクールPCを使って、双方向型の授業を行うことで、より主体的・対話的な学びが可能になるように考える。さらに、リモート形態により、離れた地域や場所から、租税教室を行うことは、より多くの希望する学校での開催を可能にするだろう。今後、国税組織における内部事務センター化により、小規模の税務署の職員数が減少する可能性もあり、小規模署(多くは人口減少地域に所在)の所在する地域の学校において、リモート租税教室の開催は、一つの解決策になると考える。以上の点を踏まえると、アフターコロナに向け、今後の方向性としては、リモート型はもちろんのこと、リモート型に拘らず、ICTを活用した租税教育を行うことで、さらなる租税教育の充実を図るという方向を目指すことになるのではないか。もちろん、学校現場のニーズがあっての話ではある。しかし、これまでの対面型租税教室のメリットに加え、『ICT活用』を租税教室のサブメニューに追加することは、租税教室を

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