ファイナンス 2022年11月号 No.684
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【国税庁ff中央租推協)】【各種表彰】学習指導要領改訂対応国税庁HP「税の学習コーナー」・税に関する作文・租税教育推進校等・納税表彰教材作成*7) 本稿における各資料の計表については、地方租税教育推進協議会を通じて開催した租税教室を基礎としており、関係機関、税理士会、関係民間団体等が独自に開催したものについては含まれていない。また、本稿中の「年度」は、4月から翌年3月までの1年間をベースにしている。【国税局・税務署(地方租推協)】講師養成【租税教室】【学校関係者】・情報提供・研修会研修会講師派遣ファイナンス 2022 Nov. 33最近の租税教育について る。円の大きさは、国税当局における事務量をおおよそではあるが相対的に表している。資料2 租税教育の全体像資料2租税教育の全体像租税教育推進協議会を通じて当局の職員等を各学校に講師として派遣する形で実施される租税教室(以降、「租税教室」という。)の開催回数*7は、令和元年度は、全国で3万回を超え、小学校においては、全国の8割近く、中学、高校では3割から4割の学校で開催されていた。しかしながら、令和2年度は、新型コロナの影響を受け、開催回数は前年度のほぼ半分と減少した(資料3)。令和3年度は、前年度比で開催回数は、約1.5倍に、受講者数は、約1.4倍と持ち直したものの、令和3年度の数字をコロナ前である令和元年度の数字と比較すると、全体の開催回数は、令和元年度比で約77%、全体の受講者数は、令和元年度比で約65%にとどまっており、まだコロナ前の租税教室の開催状況まで戻っていないことがわかる。令和2年度の開催回数の大幅な減少は、令和2年度の一学期に全国的に学校休校があったこと、二学期以降も感染対策の徹底から外部の人の出入りの制限や、密を回避するため集合方式での開催を避けたということが大きかったのではないかと推察される。令和3年度は、全国的な学校休校等がなかったため、租税教室の開催回数の自然回復があったと考えられるが、緊急事態宣言が2回、まん延防止等重点措置が2回あった等、新型コロナの影響は依然大きかったため、コロナ前の開催水準まで戻らなかったのであろう。(2)租税教室の開催回数(3)租税教室への講師派遣状況の推移令和3年度の開催回数を、小・中・高校別に見ると、特に、中学生以上を対象にした租税教室は伸びておらず、令和3年度における、令和元年度比の租税教室の開催回数・受講者数については、いずれも50%台である。中学・高校とも、学習指導要領に税についての記載はあるため、租税教室の開催はなくとも、学校教育において税の学習はされているものの、教員等による税の授業の内容等について、その実態は把握できていないのが現状である。なお、租税教室の開催回数が回復しつつある小学校の数字をみると、コロナ前は、1回当たりの受講者数が40名前後であったのが、令和3年度は1回当たり33人となっている。おそらく、コロナ前は、体育館等で集合して学年ごとに開催していたものが、コロナの影響により、密を回避するため各教室での開催形態となったため、1回当たりの受講者数が減っているのではないかと推察される。租税教室の講師については、国・地方公共団体の税務職員のみならず、税理士や関係民間団体の方々、また財務局、選挙管理委員会、年金事務所などの関係機関の職員が講師を務めている。講師派遣の状況をみると(資料4)、小・中学校では、多様な講師構成となっており、特に関係民間団体の方々が講師となっている割合が高い。一方、高校、大学になると、税理士の従事割合が高くなっており、租税教室の講師分担については、受講者と講師の専門性に応じた分担がされているということが見て取れる。

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