ファイナンス 2022年11月号 No.684
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図表3 諸外国のプライマリー・ディーラー制度*20) この節は下記の資料(Of■cial Operations in the Gilt Market An Operational NoticeやGEMM Guidebook A guide to the roles of the DMO and Primary Dealers in the UK government bond market)など、英国のDebt Management Of■ce(DMO)のウェブサイトおよび資料に基づいて記載しています。 https://www.dmo.gov.uk/media/5rkbjnuu/opnot310322.pdf https://www.dmo.gov.uk/media/ye2psdx3/guidebook160316.pdf*21) 英国債はシンジケート方式でも発行がなされています。(注1)ドイツの「BundIssuesAuctionGroup」は、メンバーのみが入札に参加できるという点ではPD制度と類似していますが、指定要件は「EU域内に本拠を構える金融機関」というだけであり、入札において一定の落札義務はあるものの、応札義務や発行当局との意見交換などがないことから、諸外国のPD制度とは異なるものとされています。(注2)フランスの落札責任は、表中の条件か「4つのセクター(短期債、中期債、長期債・超長期債、物価連動債)のうち、3つのセクターで直近1年間の発行総額の2%以上かつ4つのセクターの平均が直近1年間の発行総額の3%以上」の条件を満たす必要があります。(出所)債務管理リポートより抜粋3.2 英国*20 14 ファイナンス 2022 Nov.で見れば、我が国の非価格競争入札は欧州の制度に類似しているのかも知れません。もっとも、我が国の非競争入札を米国の非競争入札と類似していると解すれば、日本の非価格競争入札・非競争入札は、欧州と米国両方の制度と類似点があると見ることもできます。英国の利付国債はギルト(Gilt, Gilt-edge security)と呼ばれており、固定利付国債と物価連動国債で構成されています。固定利付国債は短期国債(1か月~1年)、中期国債(1年超~7年)、長期国債(7年超~15年)、超長期国債(15年超~55年)で構成されており、非常に長い年限の国債が発行されている点が大きな特徴です(その背景を知りたい読者は、中対・村田(2018)を参照してください)。物価連動国債についても幅広い年限(5年~55年)が発行されています。英国の債務当局はHM Treasury(英国財務省)及びUK Debt Management Office(DMO、債務管理庁)になりますが、この詳細はBOX 1を参照してください。ギルトの発行に際しても、一般に競争入札が実施されており*21、固定利付国債についてはコンベンショナル方式、物価連動国債についてはダッチ方式が用いられています。英国では、PDに相当する者はGEMMs(Gilt-Edged Market Makers)と呼ばれており、入札に関する義務と同時に、非価格競争入札に類似する制度(以下、英国のこの制度も非価格競争入札と呼びます)への参加などの資格が与えられる形になっています(本稿では非価格競争入札に焦点を当てますが、GEMMsの義務などの詳細を知りたい読者は「GEMM Guidebook A guide to the roles of the DMO and Primary Dealers in the UK government bond market」を参照してください。PD制度の詳細については既出の図表3をご確認ください)。

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