ファイナンス 2022年11月号 No.684
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50080長期借入金社債短期借入金有利子負債合計70605040302010▲10▲2003040506070809101112131415161718192021図表15有利子負債の推移(期中変化)(兆円)(注)本特集記事における図表は、財務省法人企業統計調査(金融業、保険業を除く)を基に作成している。40353025201510▲5(年度)0304図表16現金・預金等の推移(期中変化)(兆円)現金・預金等0506070809101112131415161718192021+21.4(累計698.2)+10.5(累計300.3)(年度) 8 ファイナンス 2022 Nov.は前者は純資産、後者は負債と表記される。貸借対照表の左側には、集めたお金をどう経営に役立てているかが記載される。例えば、事業に必要な設備を購入した場合には「有形固定資産」に記載され、お金として保有している場合には「現金・預金等」に記載される。図の貸借対照表では、期中変化を記載している。法人企業統計調査では、毎年、一部の調査対象企業が異なるため、同じ調査対象企業の期首と期末を比較したバランスシートの期中変化は、年次推移より実態を表していると言える。2021年度の期中変化を見ると、感染拡大を受け、企業は資金繰り悪化への対応や手元資金の積み増しに動いたとみられ、有利子負債が引き続き増加した。その内訳をみると、長期借入金及び社債による資金調達が引き続き行われている。その結果、企業の現金・預金等も引き続き増加している。日々の経営の成果と費用が分かる「損益計算書」「損益計算書」とは、日々の経営の成果である「収益」(売上など)から、それを実現するためにかかった「費用」を差し引き、一定期間に企業が得た「利益」を計算した書類のこと。利益には4つの種類があり、本業で得た利益は「営業利益」、副業など本業以外の損益を含めたものが「経常利益」となる。また、急遽かつ一時的に収入や費用を加味したものが「税引前当期純利益」、さらに法人税などを支払った後の金額が「当期純利益」となる。2021年度の損益計算書では、1,448兆円の売上高に対し、営業利益54兆円、経常利益84兆円、税引前純利益84兆円、当期純利益は63兆円となった。一方で自己資本比率は、内部留保の蓄積に伴い2019年度まで8年連続で上昇し、過去最高を更新していたが、2020年度以降は利益剰余金の増加幅に比べて、有利子負債の増加に伴う総資産の増加幅が大きかったことから、2年連続で自己資本比率が減少、2021年度は対前年度差0.2%pt減となった。また、中堅企業の自己資本比率は着実に増加しており、初めて大企業を上回った。業種別では、製造業よりも非製造業の方が、自己資本比率は低い。対前年度差でみると、娯楽(19.8%pt減)や宿泊(6.2%pt減)で下落幅が大きくなっている。内部留保は32.1兆円増 自己資本比率は2年連続減少内部留保の推移をみると、2012年以降増加が続いており、2021年度の残高は対前年度差32.1兆円増(うち大企業:14.4兆円増、中小企業:9.5兆円増)となった。しかし、業種別にみると、サービス業や不動産では、対前年度差で大きく減少した。また、配当金は近年着実に増加している。

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