ファイナンス 2022年10月号 No.683
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プログラムの基本構成子どもたちの理解を深めるため、可能な範囲で先生方による事前学習の実施をお願いしている。事前学習の時間を確保できない際は、職員の講義でフォローを行う。45min30min30min職員が財政に関する講義を行う。子どもたちに身近な「公共サービス」や「公共施設」を入口にして、クイズを取り入れながら説明。各グループでタブレット端末等を使用し、子どもたち同士で意見を出し合い、予算案を編成。ワーク中は、アドバイザー役の職員が質問対応やアドバイスを行う。事前学習職員の講義グループワーク 4 ファイナンス 2022 Oct.東海財務局では、富士市立高校の3年生2クラス、80名の生徒を対象とした財政教育プログラムを令和4年9月5日に実施した。また、この授業は、静岡税務署が実施する租税教室との連携授業として実施した。まずは、東海財務局財務広報相談室の金山尚人広報相談第二係長から財政についての授業が行われた。医療やゴミ収集など、身近な公共サービスの例を挙げながら、理想的な公共サービスとはどうあるべきかを生徒に考えてもらう内容となった。途中、公共サービスの費用を実感してもらうため、「日本で救急車を1回呼ぶのにかかっている費用はどれくらいか」とのクイズも出題され、参加型の授業となった。静岡税務署の篠崎あけみ税務広報広聴官からは、税金の種類や仕組みについての授業が行われた。公共サービスを提供するためには、費用がかかることから、国民一人一人がその費用を負担するために税金があるとの説明があった。また、税の仕組みを作る上では、「公平・中立・簡素」であること、様々な立場の人、様々な世代、受けるサービスの違いに対応した公平な課税を実現する必要があることなどについて解説があった。さらに、諸外国と比較して日本の税金は高いのか、安いのかも話題として取り上げられた。各国の国民全体の所得に占める税金と社会保障費の負担率を表す国民負担率でみると、欧州と比較すると低い水準であることが示された。その後再び、金山係長から社会保障と税負担のバランスについて解説があった。現在の日本では、歳出が歳入を上回っており、その差は徐々に広がっているとの紹介があり、その原因の一つとして社会保障費の増大が示された。また日本は、受益と負担のバランスが不均衡となっているが、米国のように「低福祉、低負担」の国、デンマークのように「高福祉、高負担」の国など、世界にはさまざまな国がある。それぞれにメリット・デメリットがあり、正解はないとの解説があった。これを受けて日本の社会保障と税負担のバランスをどうすればいいか、生徒が自ら考えるグループワークに引き継がれた。3年生の2クラス 80名の生徒が参加東海財務局と静岡税務署が連携し 富士市立高校でプログラムを実施

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