ファイナンス 2022年10月号 No.683
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(画像提供)・奄美市(参考資料)・もっとわかる奄美大島(奄美市発行)・令和3年度奄美群島の概況(鹿児島県大島支庁発行)・長崎税関のあゆみ 50年史旧名瀬税関支署鶏飯(写真提供:奄美市) 74 ファイナンス 2022 Oct.奄美大島時外国であった沖縄との貿易によるものでした。昭和47年沖縄の本土復帰に伴い、名瀬税関支署も鹿児島税関支署名瀬出張所となり、また、7つの出張所のうち古仁屋と与論が監視署として残り、知名監視署と合わせて、奄美大島の官署は1出張所と3監視署となりました。奄美群島の本土復帰に伴い開港(貨物の輸出入、外国貿易船の入出港が政令によって許されている港)指定を受けた名瀬港も、昭和49年閉港(開港ではなくなった)となり、昭和50年名瀬出張所も監視署に改称、残っていた監視署も次々と廃止となり、ついに昭和60年名瀬監視署も廃止され、奄美群島の税関官署すべてが廃止となりました。しかし、平成6年に奄美大島において覚醒剤の大量密輸入事件が発生し、南西諸島周辺海域における多くの不審船舶情報等から、南西諸島における社会悪物品密輸入の危険性は極めて高いと認識し、平成7年長崎税関に「南西諸島取締対策室」が設置され、その下部組織として奄美大島に名瀬事務所が開所されました。当初は、正式の機構としては認められなかったため、交代制で職員3名が常に勤務する長期出張形態で、離島地域の監視取締り、不開港の実態調査、情報収集活動に加え、警察、海上保安庁合同の密輸防止キャンペーンの実施、けん銃・麻薬等水際対策関係機関連絡会議の開催、けん銃等水際対策合同訓練等を行いました。その後、平成9年に正式の機構として認められ、長崎税関鹿児島支署名瀬監視署が復活したのです。現在私を含め3名の職員で、南北約216kmにおよぶ担当区域における監視取締り及び情報収集を担当し、日々、関係取締機関との不正薬物やけん銃などの密輸入に発展する可能性のある情報交換や情報収集、港における不審な行動をとる船舶などに対する監視取締りに力を注いでおり、奄美大島を中心に群島内における関税法違反事件の事前情報入手、発見、摘発をすべく日々の業務に当たっています。例えば、奄美の宴や祭りに欠かせない島唄です。裏声を用いる独特の歌唱法が特徴で、主に用いる楽器はサンシン(三線)です。生の島唄を聞くことのできる郷土料理のお店もあるので、是非聞いてみてください。また、奄美の郷土料理として「鶏飯」という料理があります。茶碗に盛った米飯に、ほぐした鶏肉、錦糸卵、シイタケ、パパイヤ漬け等の具材と葱、きざみ海苔、刻んだタンカンの皮、白ごま等の薬味を載せ、丸鶏を煮て取ったスープをかけて食べる料理で、鹿児島県では給食の定番メニューです。奄美大島は豊かな海や、希少な生き物を育む熱帯雨林、琉球と薩摩が混じりあう特異な文化を持つ地域です。是非一度お越しいただきその素晴らしさを知っていただければ幸いです。5 終わりに世界自然遺産登録によりその豊かな自然が注目されている奄美大島ですが、自然以外にも文化や食べ物など魅力的なものがたくさんあります。

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