ファイナンス 2022年10月号 No.683
7/82

(小学校教諭)1234 プログラムの効果先生方の声VOICE意外と質問、反論が多く、こんなに子どもたちが発言するとは思っていなかった。嬉しい誤算。VOICE職員が回ってアドバイスなどのサポートをしてくれたおかげで、普段は消極的な生徒も意欲的に個人ワークに取り組んでいたし、グループワークでは活発に(中学校教諭)話ができていた。日本の財政に興味を持つことができる。社会問題を自分事として捉えることができるようになる。受益と負担の両面性(トレード・オフ)の理解を深め、多面的な見方を可能にする。多様な意見を集約するには、民主主義的過程が重要であると認識できる。VOICE将来の進路として、大学の法文学部や経済学部を志望する生徒も多く、昨年のプログラム実施後、財政に興味を持ちキャリア(職業)研究する生徒も現れた。(高校教諭)ファイナンス 2022 Oct. 3財務局では、次世代にわたって財政を持続可能なものにしていくためには、財政のあり方などについて、主体的に考えることが大切であると考え、財政教育の機会や情報を提供している。その一つが財政教育プログラム。このプログラムは、難しいと感じがちな「日本の財政」に興味を持ってもらうことを目的としており、大きく4つのポイントがある。1つ目はアクティブ・ラーニングの導入。日本の将来について考えることをテーマとしたグループワークを取り入れ、自身の描く未来やその実現に向けた課題、課題解決のための手段など、子どもたちが意見を出し合いながら議論を行うことにより、主体的・対話的で深い学びを促している。2つ目は財務局職員との交流ができること。当日は、講師役に加え、グループワークの補助を務めるアドバイザーが派遣される。アドバイザーは、子どもたちからの質問に答え、時には意見を引き出す疑問を投げかけるなど、活発な議論の手助けを行い、子どもたちとの積極的な交流を図る。3つ目はタブレット端末等ICT機器の活用。グループワークでは、タブレット端末等のICT機器を積極的に活用している。使用する予算編成シミュレーションツールは、各予算項目を増減させるとグラフが変化する仕組みとなっており、視覚的に楽しみながら取り組むことができる。4つ目は学校と財務局との協働。指導案作成の段階から先生方と職員で綿密に連携し、学校と財務局が協働しながら1つのプログラムを作り上げている。プログラムの内容は、先生方の要望などに応じて、様々な形にカスタマイズすることも可能となっている。財政教育プログラムを実施することで、日本の財政に興味を持ち、社会問題を自分事として捉えられるようになる、などの効果が期待できる。なお、令和3年度は小、中、高校生向けに140件実施された。また最近の取組みとして、高校の新学習指導要領において、財政・租税の役割、社会保障の充実・安定化や財政の持続可能性などを主体的に学ぶ新科目「公共」が今年4月から開始されたことに伴い、財政教育と租税教育との連携に注力しており、財政教育プログラムと租税教室の連携授業などを行っている。財政教育プログラムの 4つの特徴とは次世代にわたり持続可能な財政の実現に向けて 財政のあり方を主体的に考える機会を提供

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る