ファイナンス 2022年10月号 No.683
69/82

)~円万326()円万326~194()円万194~214()円万214~453()円万453~703()円万703~762()円万762~132()円万132~491()円万491~441()円万441~(第Ⅷ階層第Ⅶ階層第Ⅵ階層第Ⅴ階層第Ⅳ階層住民税雇用保険料第Ⅲ階層第Ⅱ階層所得税介護保険料第Ⅰ階層層階Ⅹ第層階Ⅸ第層階Ⅷ第層階Ⅶ第層階Ⅵ第層階Ⅴ第層階Ⅳ第層階Ⅲ第層階Ⅱ第層階Ⅰ第ファイナンス 2022 Oct. 65 図2 家計の税・保険料負担:65歳以上(a)負担率(2019年)30%25%20%15%10%5%0%表3 再分配効果ジニ係数の変化分税・保険料税のみ保険料のみジニ係数の変化率税・保険料税のみ保険料のみ*11) 税の再分配効果は、課税前所得(総所得)と課税後所得(総所得から税を引いたもの)それぞれのジニ係数を求めたのち、双方の差分をとって計算した。同様に、保険料の再分配効果は、課税前所得(総所得)と課税後所得(総所得から保険料を引いたもの)それぞれのジニ係数を求めたのち、双方の差分をとって計算した。なお、これらの取り組みは寄与度分解ではなく、双方の効果の和が税・保険料の再分配効果に一致するわけではないことに留意されたい。所得税住民税年金保険料健康保険料(注)総務省統計局『全国家計構造調査』(旧『全国消費実態調査』)の個票データより筆者作成19891994-0.030-0.0290.001-0.029-0.0270.000-10.0%-9.7%0.3%-9.4%-8.8%0.0%介護保険料雇用保険料(b)負担率の変化分(1989年→2019年)19992004-0.026-0.023-0.002-0.027-0.022-0.003-8.5%-7.5%-0.7%-8.6%-7.0%-1.0%8%6%4%2%0%-2%-4%20092014-0.031-0.024-0.004-0.033-0.024-0.006-9.5%-7.4%-1.2%-10.2%-7.4%-1.9%20191989→2019-0.034-0.025-0.006-0.0040.004-0.007-10.3%-7.6%-1.8%-0.3%2.1%-2.2%第第ⅨⅩ階階層層健康保険料年金保険料税・保険料PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 125.税・保険料の再分配効果こうした負担構造の経年的変化を踏まえ、税・保険料の再分配効果についても時点間で比較する。表3は税・保険料の再分配効果の大きさについて2つの尺度で示している。1つ目は表2と同様に、税・保険料によるジニ係数の変化分(すなわち、総所得と可処分所得におけるジニ係数の差分)で捉える。2つ目は税・保険料によるジニ係数の変化率(すなわち、ジニ係数の変化分を総所得のジニ係数で除したもの)で捉え、これは「平準化係数」とも呼ばれる。表3の結果から、各時点で税・保険料はジニ係数を0.03p程度低下させており、総所得ベースのジニ係数を1割程度低下させることに寄与している。(なお、各時点のジニ係数の値は表2で示したとおりである。)経年的に見ると、この30年間で税・保険料の再分配効果の大きさはわずかに(0.004p程度)増加している。また、税と保険料それぞれで再分配効果の変化について見てみると、税の再分配効果は0.004p低下する一方、保険料の再分配効果は0.007p上昇しており、こうした結果は4.2節における負担構造の変化とも整合的である*11。ところで、再分配効果の時点間比較には制度の変更による影響のみならず、所得分布や人口構成などの変化による影響も含まれる。今回はFixed Income Approachという手法を使用して(計測方法に関する説明は省略する)、制度変更が再分配効果の変化に及ぼした真の寄与についても計測した。表4はその計測結果を示している。例えば、1989年と2019年の比較を行うと、この30年間で制度変更によって税・保険料の再分配効果が0.007p低下しており(表4の1行目)、またこうした結果は主に税制面でもたらされてきた。表4は5年おきの計測結果も示しているが、特に1990年代(1989年→1994年、1994年→1999年)は再分配効果を低下させており、こうした背景には最高税率の引き下げや定率減税の導入、各種控除の拡大などが挙げられる。その後、2000年代以降(1999年以降)は最高税率の引き上げ、定率減税の廃止、各種控除の縮小などが進められてきた。

元のページ  ../index.html#69

このブックを見る