ファイナンス 2022年10月号 No.683
59/82

12345678910~……アメリカ非製造業製造業ファイナンス 2022 Oct. 55(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。(図表13)AI、IoT等に関する社員のリスキル方針(図表14)変革を推進するための人材の確保(図表17)各国のDXが進■している企業の売上高増減日本(n=1,384)ドイツ(n=451)米国(n=459)0(%)(図表18)デジタル人材の高額報酬の求人例求人に含まれる単語前年比(求人数)求人件数最高掲示年収1,099件2,200万円ブロックチェーン19,959件4,000万円AI/人工知能/機械学習17,660件4,600万円IoT・M2M5,806件2,100万円自動運転3,459件4,000万円フィンテック/FinTechサイバーセキュリティ1,481件3,000万円※求人件数と最高掲示年収は2018年4月現在の数字※「/」はいずれか一単語を含む求人(図表15)DXの取組内容と成果(図表19)デジタル人材に高額報酬を提示する企業例平均年収(GDP比・2019年)コラム 経済トレンド 100※DX進展度1:「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれにおいても実施していない企業、DX進展度2:「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれかにおいて1つ以上実施しており、かつ、2019年度に「明確な部署・プランの策定」を1つも実施していない企業、DX進展度3:「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれかにおいて1つ以上実施しており、かつ、2019年度に「明確な部署・プランの策定」を1つ以上実施している企業128404812(%)ノルウェーデンマークオーストラリア英国DX進展度1(n=46)DX進展度2(n=80)DX進展度3(n=293)DX進展度1(n=238)DX進展度2(n=345)DX進展度3(n=1,091)0(%)2040(図表11)デジタル競争力ランキング2021公的支出順位(図表12)粗付加価値に対する人的資本投資の比率(業種別、2011−2012年)(図表16)DXの進展度と売上高の増減・国際経営開発研究所(IMD)が公表する2021年デジタル競争力ランキングを参照すると、欧米諸国が上位にランクインする一方で、日本の順位は低位にとどまっている(図表11)。上位にランクインしている国は、社員教育・公的支出のいずれかもしくはその両方が旺盛であり、人的資本への投資の差異があらわれている(図表12)。・日米比較をみると、社員のリスキリングにおいて、日本企業では約3割にとどまっているのに対し、米国企業は約8割の社員に学び直しを実施しており(図表13)、企業内部における人材育成環境が整っていることが分かる。また、DX人材確保においては、米国企業の方がより外部人材を活用している傾向が強く(図表14)、企業外部からの人材確保にも注力していることが分かる。・また、DXの取組内容とその成果における日米比較をみると、日本はデータのデジタル化や業務効率化などは追随している一方、製品・サービスの高付加価値化等が遅れており、その結果として変革を伴うDX化が進展しないことが見てとれる(図表15)。今後、日本は生産性向上や業務効率化で満足することなく、付加価値を創出し企業収益の増加を目指していくことが求められる。・実際に、付加価値の創出を伴うDXの進展度が高い企業ほど売上高増加への寄与が見てとれる(図表16)。しかし、DX化がより進展している欧米諸国では、日本よりも売上高増加の効果が顕著にみられる(図表17)。企業は持続的な成長のために、収益の一部や内部留保を活用する等、人的資本の蓄積を進め、投資収益を回収できるビジネスモデルを再構築すること、そして生み出された収益をDX人材を中心とする従業員へ還元していく好循環を生み出すことが求められる。・高付加価値を生み出すDX人材の獲得や定着には、それに見合った報酬や処遇が必要である。欧米諸国の高額報酬水準の流れを受けて、国内においてもデジタル人材の報酬水準向上の機運が高まりつつある(図表18、19)。企業は年功序列型の賃金モデルの見直しに取り組み、ある程度処遇差を設けることをしなければならない時代となっている。・日本の職業訓練への公的支出は低水準であるところ(図表20)、骨太方針2022にて、2024年度までの3年間で4,000億円規模の施策パッケージが打ち出された。DXスキルの習得に前向きであるが、再教育の機会に恵まれない労働者にリスキルの機会を提供するなど、セーフティネットとしての積極労働政策等の実施により、DX推進の下支えとなることが期待される。「DX白書2021」株式会社ビズリーチHP、ダイヤモンドオンラインHP、OECD「PublicexpenditureandparticipantstocksonLMP」社員教育順位総合順位国・地域アメリカ香港スウェーデンデンマークシンガポールスイスオランダ台湾ノルウェーアラブ首長国連邦28日本20%以上増加不変(±1%未満)20%以上減少10%~20%未満増加1%~10%未満減少わからない29143223495108103757631724511955全社員対象での実施社員の立候補による特定社員向けの実施実施していないし検討もしていない2757社外の専門家との契約(コンサルタントなど)外部採用(中途採用など)社内人材の育成人材確保を行っていないその他20%以上増加不変(±1%未満)20%以上減少1%~10%未満増加10%以上~20%未満減少※「DXに関連した取組」を2019年度、2020年度のいずれかにおいて1つ以上実施しており、かつ、2019年度に「明確な部署・プランの策定」を1つ以上実施している企業に対するヒアリング日本(n=533)米国(n=369)非製造業製造業イタリア日本韓国60801000(%)204060日本(n=534)米国(n=369)40600(%)201%~10%未満増加10%以上~20%未満減少4.2倍2.2倍2.1倍2倍2倍2倍7.916.19.019.746.937.434.710.039.09.827.50.70.3(複数回答)29.06080402010%~20%未満増加1%~10%未満減少わからない80100会社選抜による特定社員向けの実施実施していないが検討中その他成果が出ている企業名富士通AIやセキュリティーの分野で高い能力を持つデジタル人材ビッグデータ解析や決済関係のサービス開発などに高い専門性を持つ人材AIやIoTで高い専門性を持つ技術者AIなどで高い専門性を持つ技術者NTTドコモNTTデータNTTコミュニケーションズ(図表20)各国の職業訓練に対する公的支出0.40.37.99.848.247.749.148.0アナログ・物理データのデジタル化業務の効率化による生産性の向上既存製品・サービスの高付加価値化新規製品・サービスの創出顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革100デンマークフランスドイツイタリアスペイン韓国オランダアメリカ日本0(%)0.1対象者想定年収30代でも3000~4000約798万円万円3000万円(年俸制)約872万円3000万円(年俸制)約828万円3000万円(年俸制)約600万円日本(n=147)米国(n=263)日本(n=146)米国(n=263)日本(n=145)米国(n=263)日本(n=146)米国(n=263)日本(n=146)米国(n=263)100成果が出ていない、もしくは取り組んでいない(出典)IMDWorldDigitalCompetitivenessRanking2021、内閣府「平成30年度年次経済財政報告」、OECD「OECDScience,TechnologyandIndustryScoreboard」、IPA0(%)500.4(出典)総務省「令和3年版情報通信白書」「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」、経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」、0.30.2国際比較からみた人的資本投資・DX推進人的資本増強によるDX推進の展望

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る