ファイナンス 2022年10月号 No.683
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不動産販売低迷により、土地使用権売却収入や不動産取得税が伸び悩み金融機関の支援のための公的資金注入により、財政状況が悪化市場の低迷で、不動産企業に対する不良債権増加住宅購入者による、未完成物件の住宅ローン返済拒否発生不動産企業の工事停滞により、物件引き渡しが遅延する被害住宅価格の低下により、住宅購入意欲が低下42022501444780(出所)各種報道等【図表2】住宅価格上昇率(前年同月比:%)【図表4】不動産市場低迷の影響1510▲51線級都市71012019(出所)Datastream20202線級都市3線級都市710171012021302010▲10▲20▲30▲402018(出所)中国財政省(注)2022年は1月~8月累計の前年比2019202020212022 52 ファイナンス 2022 Oct.5.地方財政への影響中国では土地は公有であり、地方政府が土地使用権を不動産企業に売却して不動産開発が実施されており、地方政府の歳入における土地使用権譲渡収入へのまた、中国では完成前の物件を割安で販売し、その代金を建設資金に充てるのが一般的であるが、不動産企業の資金繰り悪化により工事が停滞し、住宅の引き渡しが遅延しているため、7月頃から住宅購入者が住宅ローン返済を拒否する事例も目立ち始めている。依存度は高い。2021年は、日本の一般会計に近い一般公共予算の税収が17.3兆元であるところ、日本の特別会計に近い「政府性基金」での土地使用権譲渡収入は8.7兆元となっており、その大きさが分かる。不動産市場の低迷によって不動産開発が落ち込めば、土地使用権譲渡収入が減少し、地方政府の財政を悪化させる可能性がある。実際、2022年の1月から8月までの土地使用権譲渡収入の累計は、前年同期比で28.5%減少している。【図表3】土地使用権譲渡収入の伸び率(前年比:%)住宅購入者不動産市場の低迷金融機関地方政府

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