ファイナンス 2022年10月号 No.683
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ファイナンス 2022 Oct. 25*62) https://www.pewresearch.org/global/2020/10/06/unfavorable-views-of-china-reach-historic-highs-in-many-countries/*63) https://bfpg.co.uk/2021/02/2021-annual-survey/*64) https://ceias.eu/survey-europeans-views-of-china-in-the-age-of-covid-19/(図23)今後10年間の英国の安全保障上の脅威(%、2021年)英国と中国の二国間関係 (出典)pewresearch center(図22)中国に対しネガティブな印象を持つ人の割合(2005〜2019年)(%)100908070605040302010ドイツイギリス200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019フランス日本アメリカ        (年)(出典)BFPG他国からのサイバー攻撃国際的テロ中国の台頭気候変動英国政治における外国の介入新しい国際的移民危機核軍拡競争英国の分裂西側諸国における民主主義の後退自動化と経済的変化0(%)10208483797877717166656230405060708090大学が直面している事情があると考えられる。本章の締めくくりに、米国のシンクタンクPew Research Centerが2002~2020年まで14か国を対象に行った各国のイメージ調査*62、2021年1月に英国British Foreign Policy Group(BFPG)が英国人2002人を対象に行った「イギリスの外交政策とグローバル・ブリテンに関する世論調査」*63、及び、スロバキアのシンクタンクThe Central European Institute of Asian Studied(CEIAS)が2020年9、10月に1500人(18~70歳)の英国人を対象にオンラインで実施した「Covid-19時代における、英国人の対中世論」*64を元に、英国人が抱く対中感情について紹介する。A)英国人の中国に対する感情過去20年間、中国にネガティブな感情を抱く英国人の割合は、他のG7諸国と比べて圧倒的に低かったが、香港問題を受けて、2018年以降急激に高まり(55%)、足元、他国と同程度となっている(図22)。また、英国人の国際社会における脅威対象として、中国は3番目に大きな脅威と捉えられている(図23)。しかし、英国の経済、安全保障、外交の中心にインド太平洋地域を据え、中国に対抗する、という具体的な意思があるようには見えない。このことは、「英国がインド太平洋地域に傾斜すべきか」との問いに対し、約42%が「わからない」と回答、「他地域とのバランスをとるべき(35%)」と合わせると8割近く上るという結果に表れている。逆に、「同地域に政策の中心を据えるべき」との回答はわずか15%だ(図24)。では、英国人の求める中国との付き合い方とはどのようなものか。「人権問題について中国に対抗すべき」との回答が最も多く(40%)、「気候変動などの地球規模課題での協力」を求める声も同程度(38%)ある。さらに研究協力(27%)、経済関与と財政的投資(22%)等、互恵関係を模索する意見が続き、関わりをもたないとの回答も一定数存在する(図25)。人権問題と気候変動が上位2つを占めることから、英国民は、経済的実利よりも価値や規範を重視する傾向が読み取れる。B)英国人の香港人に対する感情これまで幾度となく関係悪化の引き金となった香港だが、世論においても関心が高い。2020年3月、英政府は香港在住の英国国籍保有者に対し、英国居住権の獲得簡易化を図ったが、同年9月CEIASは居住権付与の是非を調査した。「全香港人に与えるべき」(25%)と「1997年以前に英国と関係があった人にのみ与えるべき」(29%)の二つを合わせると、半数以上が香港人に居住権を与えることに賛成しているが(図26)、特に全香港人に英国居住権を与えて良いと考える人が4分の1も占めることは特筆すべきであり、改めて香港が一般の英国人にとって、極めて身近な存在であることが分かる。(2)対中国・香港感情

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