ファイナンス 2022年10月号 No.683
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2020-20212019-20202018-20192017-20182016-20172015-20162014-20152013-20142012-20132011-20122010-20112009-20102008-20092007-2008*56) https://thepienews.com/news/alarming-evidence-of-chinese-meddling-in-uk-unis/*57) https://unherd.com/2020/07/our-universities-are-dangerously-reliant-on-china/*58) 1970年代に創られた世界中の大学や教育機関に存在する中国人学生や学者をサポートする学生組織。人権団体やジャーナリストの中には海外の中国*59) https://bfpg.co.uk/2020/07/resetting-uk-china-engagement/*60) http://www.chinese-embassy.org.uk/eng/ambassador/dsjhjcf/t1787799.htm*61) https://russellgroup.ac.uk/news/uk-students-make-up-three-quarters-of-russell-group-undergraduates/#.Xx714TJyvOU.email (参考3)英中経済・金融財政対話リーク文書(図20)英国における出身国別留学生数推移(図21)英国における留学生の出身国(2020-2021年)(出典)HESA300,000250,000200,000150,000100,00050,000分野貿易内容・英国産牛肉及びその他製品の中国における販売規制を緩和・法律業務、ビデオゲーム、建設業、会計業務及び教育業における取引増加を約束・国家安全保障・投資法は「特定の国家又は行為者に関するものではない」、「開かれた、公平な、差別的でない投資環境」に合意・中国投資有限責任公司(ChinaInvestmentCorporation)の「大口投資家」としての役割を認め、英国に「駐在員事務所」を創設・ロンドン証券取引所への中国企業上場を歓迎するとともに規制障壁削減に合意・英国で人民元建て債を発行し、「世界で一流のオフショアハブ」としてのロンドンの役割を確立・HSBCやスタンダードチャータードに対する規制を削減し、更なる取引を可能に・シティ・オブ・ロンドンと中国の関係強化を目指し、「中国は、英国を海外資金調達に際して好ましい市場と認定し、中国の金融機関、準政府投資金融機関及び政府機関によるロンドンにおけるオフショア複数通貨建て資金調達を支援することに合意する」その他・ロンドンから北京へのフライトの即時再開・中国のビジネスマンによる英国留学を歓迎するためのチーヴニング(Chevening)奨学金の新制度を創設人学生を監視するためとの見方も。https://researchbrie■ngs.■les.parliament.uk/documents/CBP-9004/CBP-9004.pdf(人)350,0000オーストラリア南アメリカマレーシアその他ヨーロッパ北アメリカ中東アフリカその他アジアインドEU全体中国(年)アフリカ8%マレーシア1%南アメリカ1%その他ヨーロッパ3%北アメリカ4%中東5%その他アジア12%インド16%EU全体20%中国30%(出典)HESA 24 ファイナンス 2022 Oct.の2020~2021年においてもわずかに減少するのみである(図20, 21)。英国教育機関が中国人学生から経済的恩恵を受けている反面、技術移転や学問の自由の侵害も指摘される。2019年、MI5(英国諜報機関)とGCHQ(英国情報本部)は中国との共同研究や基金が国家の危機をもたらす可能性について、英国の大学に警告した。また同年、英国下院の外交委員会が外務省はこの問題を直視すべきとの見解を発表した*56。最大16の大学が収入の5分の1を中国人留学生に依存しているとの報告もある*57。実際、中国政府や関係機関等が英国に留学する学生や大学組織に干渉する動きもあり、例えばCSSA(中国学生学者連合会)*58は、英国の台湾・香港学生が中国に関するデモに参加しないように呼び掛けたことが報告されている*59。また同組織は、2017年2月、ダラム大学討論会が主催する法輪功講演をバリケードで封鎖し、中止させている。更には、2020年6月11日、在英中国大使は、英国が米国を抜いて中国人学生の主要な留学先となったことを受け、「自分の力を活用し」「祖国に奉仕」するよう堂々と呼びかけている*60。政府が警戒感を高める一方、大学側はそれほどの問題意識を有しているようには見えない。例えば、英国シンクタンク・オンワード社による、「英国の大学が中国人留学生に危険なほど依存している」と警告に対し、オックスフォード大学やケンブリッジ大学、LSEをはじめとするイギリスの研究型公立大学24校が構成するラッセルグループは、「英国人学生が入学生の77%を占めるため、中国人留学生に大きく依存している訳ではない」との見解を示している*61。こうしたスタンスの背景には、パンデミックに伴う渡航制限による留学生数、そして収入の減少という困難に多くの

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