ファイナンス 2022年9月号 No.682
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ひまわりの里の風景 まんのう町地域振興課 課長松下 信重ファイナンス 2022 Sep. 83町の基幹産業は農業で、農家1戸当たりの経営耕地面積は約50アールとなっており、兼業農家が大半を占めています。町では、平成18年からの15年間で人口が約3,000人減少し、65歳以上の高齢化比率も37.6%となるなど、人口減少と少子高齢化が急激に進んでいます。この影響を受け、農業では担い手不足や従事者の高齢化による耕作放棄地の増加などが大きな課題となっています。すると、近くにある老人ホーム施設の入居者が、太陽に向かって咲いているひまわりを見て「元気をも1.まんのう町の概要まんのう町は、人口約17,700人、面積は194.45km2を有し、町の約7割を森林が占めています。香川県の南西部に位置し、町の南部には、標高1,000メートルを超える県最高峰の竜王山や大川山を主峰とする阿讃山脈が徳島県との県境をまたぐように連なっています。町の中央部には、日本最大級の灌漑用ため池「満濃池」があり、讃岐平野の農地約3,000ヘクタールを潤しています。2.ひまわりの里の経緯米の生産調整として減反政策がおこなわれる中、満濃池の西側に位置する帆山地区では、地域が一体となり、地域を4つのブロックに分け、その内の1つのブロックを転作田として、ローテーションをおこなっていました。転作田では大豆などを生産していましたが、地域の若者が流出し、地域が衰退していたことから、地域を元気にしようと、平成元年度に話題性のあるひまわりを転作田23アールに試験的に作付けしました。らったよ。」とにこやかに微笑んでくれました。翌年からは栽培面積を徐々に増やし、平成29年度には7ヘクタールにまで拡大しました。ひまわりの種子からは良質なひまわりオイルがとれます。当初、ひまわりの種子の収穫は、ひまわりを一本一本手で刈り取り、天日干しをし、網で擦るなど、すべて手作業でおこなっていました。長時間・重労働の作業となっていましたが、平成28年度に、地方創生交付金を活用し、収穫機や乾燥機を導入したことにより、大幅な時間と労力の削減を図ることができました。また、搾油についても、当初は外部委託していましたが、平成10年度からは搾油機を導入し、地域での食味の試験を経てひまわりオイルの販売を開始いたしました。その後もより良いオイルにするための試行錯誤を繰り返し、平成29年度には地方創生拠点整備交付金を活用し、高品質のオイルを製造する設備を整備いたしました。このようにして完成したひまわりオイルは、薬品を使用しない圧搾方式で搾油している自然そのもののオイルとなりました。栄養価も、他のオイルと比較してビタミンEやオレイン酸を多く含み、抗酸化作用も高ひまわりを活かし、 みんなで創るまちづくりまんのう

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