ファイナンス 2022年9月号 No.682
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*10) 財政史(『明治財政史』シリーズから『平成財政史‐平成元〜12年度』シリーズ)はこちらからご覧ください。 *11) 財政経済統計年報はこちらのページの最後にリンクを掲載しておりますのでご覧ください。 https://www.mof.go.jp/pri/publication/policy_history/index.htmhttps://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou1.htmPRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 11 ファイナンス 2022 Sep. 77・財政金融統計月報の紹介財政金融統計月報とは財政金融統計月報(以下「月報」という。)は、財務省の主要な業務統計や一般に公表されている統計資料などを基に財政、金融、経済の重要な事象について具体的に解明し、部内執務の参考と一般の利用に供することを目的として1949年8月の創刊から70年以上、刊行を続けている統計資料集です。財政金融統計月報の創刊1948年には月報の前身にあたる財政経済統計年報*11(以下「年報」という。)が大蔵省及び日本銀行の共同編集により刊行されています。年報のはしがきには「戦時中の空白となった統計を充実し、終戦後の新事態に応ずる諸統計を採録し、戦前戦後を通ずる我が国財政、金融、経済の実情を伺う各種の資料を提供月報は、毎号、特定のテーマについての特集号となっており、現在は、内外の財政金融、経済全般に関して公表されている経済統計などを収録した国内経済、国際経済の特集号のほか、財務省の主要な所管行政を取り上げて掘り下げた業務統計を収録した国有財産、租税、予算、財政投融資、法人企業統計年報、国際収支、国庫収支、対内外民間投資、関税、政府関係金融機関等、地域経済の特集号があります。それぞれ所管する部局が執筆し、財務総合政策研究所が編集・刊行を担当しています。原則として毎年同様のテーマを取り上げており、同じ特集を遡れば、長期の動向を把握することが可能です。月報という名称ですが、財務省の所管行政に関する13種類の年報を刊行しているといったほうがよいのかもしれません。月報の巻頭にある解説部分などが大蔵省、財務省の正史にあたる「昭和財政史」、「平成財政史」*10などの編纂の基礎資料としても利用されているほか、一般の方からの問い合わせも多く、なかには海外からの照会もあるなど、広く活用されています。するため、大蔵省及び日本銀行がその共同の事業として昭和元年以降の財政、金融、経済関係の重要統計を総合的に蒐集編纂」とあり、昭和元年(1920年)から同23年(1948年)3月までの財政、金融、経済の主な統計がこの一冊に掲載されています。戦時中の統計について、「特殊なものを除き大部分を充填することができたが(中略)原資料の関係でなお未完成まま残されたものがある」、「計数の誤謬の存するものが多く、(中略)できる限り点検整備に努めたが、なお不十分な点がないとはいえない」などとあり、苦労の跡がうかがえます。1949年8月に年報を引き継ぐかたちで月報が創刊されました。創刊号は昭和24年度予算特集号です。編集後記には「膨大な予算書を80ページ内外に圧縮し、豊富な注釈や参考諸表をそえ、わかり易くまとめたので、不十分の点が多いが、一般が利用するには便利のもの」とあります。当時は一般の方が予算書などの資料を入手することは難しかったと思われますので、大変貴重な取り組みでした。創刊当初について、テーマは現在よりも柔軟に設定され、専売事業(第14号ほか)、中央銀行制度(第85号)、造幣・印刷事業(第235号)のほか、物価(第167号)のように統計はほぼ掲載されず経済理論研修生の論文を掲載した特集号もありました。

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