ファイナンス 2022年9月号 No.682
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*10) さらに閣僚会合の数も多く、5月、6月で計10回程度の各閣僚会合が実施されたほか、首脳会合以降の9月以降にも複数の閣僚会合が予定されています。す。例えば、現在の政権はSPD(赤)・緑の党(緑)・FDP(黄色)の組み合わせなので、「信号連立」などと呼ばれています。他にはCDU/CSU(黒)・緑の党(緑)・FDP(黄色)でジャマイカ連立(ジャマイカの国旗の色から)、SPD(赤)・緑の党(緑)・左派党(赤)で赤緑赤連立などといった表現が聞かれます。イツでは選挙終了後新政権が成立するまでに時間がかかります。二大政党の支持率の低下により立場の異なる三党以上での連立交渉が必要となっていることも大きな理由の1つでしょう。2017年の選挙の際には、9月に選挙が行われましたが、実際に新政権が成立したのは、なんと翌年3月のことでした。2021年の場合、選挙は9月26日に実施されましたが、実際にSPD、緑の党、FDPによる3党連立政権が成立し、新首相が誕生したのは、12月8日のことであり、2か月以上が連立交渉に費やされたことになります。ちなみに、州政府としては過去にも例がありますが、連邦政府としては今回が初めての三党連立政権であり、ショルツ首相の舵取りにも大きな注目が集まっています。現在の内閣は、ショルツ首相の下に16名の閣僚がおり、SPDから7名、緑の党から5名、FDPから4名という構成になっています。閣僚16名のうち半数にあたる8名が女性であるというのもドイツの内閣の特色でもあります。 ドイツ議長国下でのG7ご案内のとおり、2022年はドイツがG7の議長国を務めています。財務大臣・中央銀行総裁会合はドイツ西部ノルトラインヴェストファーレン州のボン郊外にあるケーニヒスヴィンター(5月18~20日)で、首脳会合はドイツ南部バイエルン州でオーストリアとの国境にも近く2015年の前回ドイツがG7議長国であった際に首脳会合が実施された場所でもあるエルマウ(6月26~28日)で、それぞれ開催されました。2023年は日本がG7議長国となりますが、サミット開催地は開催前年である2022年夏時点で既に広島と決定されています。他方、本年のドイツ開催にあたっては、前述のとおり2021年秋に連邦議会選挙が予定されていたこと、そして、その後の連立交渉が終わり、新政権が樹立したのが12月になったことなどから、サミット開催時期や場所、どの閣僚会合を開催するかそしてその時期と場所の発表は2022年1月にずれ込みました*10。私を含む大使館職員も特に開催地や時期が発表になって以降、急ピッチで日本代表団の受け入れ対応のための準備等に奔走しました。私が主に携わった財務大臣・中央銀行総裁会合では日本から鈴木財務大臣、黒田日本銀行総裁を含む25名程度の代表団を受け入れました。私個人としてもこうした大型の出張者の受け入れの経験は初めてでしたので、出張者の皆様にはご面倒をおかけすると同時に貴重な経験をさせていただくことができました。6月の首脳会合においては、さらに大人数の日本代表団を受け入れるため、大使館だけではなく、ドイツ国内の4つの総領事館やその他の地域の大使館等からの応援出張者を含めた体制で対応にあたりました。首脳会合が開催されたエルマウ城は、最寄りの大都市であるミュンヘンから車で2時間ほどかかる場所でした。会合会場となったエルマウ城はもちろん、麓の街であるガルミッシュ=パルテンキルヒェン(ミュンヘンから車で1時間30分程度)にもそれほど大きな宿泊施設を確保することは難しいため、今回の日本代表団はこの3か所に分かれて宿泊することになりました。日本からは岸田総理大臣も出席されたうえ、大人数が様々な場所に分かれて宿泊し、かつ日毎に移動して業務にあたる人も多くいるという出張でしたので、私自身様々な苦労もしましたが、ドイツのG7議長国ハイライトともいうべき首脳会合において、現場業務の一端に携わることができたことは得難い経験となりました。コラム4ドイツの連立政権の「色」ドイツの連立交渉においては「色」の話題が非常に多く聞かれます。これは、各政党のイメージカラーを使って連立政党を表すためです。CDU/CSUは黒、SPDは赤、緑の党は緑、FDPは黄色、左派党もSPDと同じく赤、といった具合です。連立の組み合わせはこの色を用いて表現されることが多くなっていま 54 ファイナンス 2022 Sep.

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