ファイナンス 2022年9月号 No.682
50/94

新型コロナ感染症対策に係る資金繰り支援について *51) 今から約一世紀前、「スペイン風邪」流行に際し、当時の内務省衛生局は、「流行性感冒」という報告書を遺しているが、その冒頭において「惟(おも)フニ本病ノ豫防方法ハ尚今後ニ於ケル學術的研究ニ待ツノ要アルヘシト雖(いえども)今次流行ノ際ニ於ケル施設ハ又以テ今後ノ参考資料ト爲スニ足ルモノアルヘキヲ信ス」と述べている(振り仮名を追記している)。今般の新型コロナの経験・学びが将来の危機的事態に対して適切に対応するための糧となることを祈る次第である。をきめ細やかに把握し、施策の内容を繰り返し検証し、都度必要な軌道修正を通じて真に望ましい施策としていく柔軟な姿勢であろう。新型コロナという複数年にわたる危機的状況への対応の経験をある種のケーススタディとして、その学びを糧として、政府として将来の危機的状況によりよく対処できるよう活かしていくことが重要ではないだろうか。今後、様々な主体において新型コロナ対策の総括が行われていくことになると思われるが、本誌令和2年8月号、そして本稿で取りまとめた記録が、危機的状況下における金融面での事業者支援の参考となり、僅かなりとも、将来のよりよい危機対応に活用されるようなことがあれば、政策担当者として、また執筆陣として幸いである。*51 46 ファイナンス 2022 Sep.

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る