ファイナンス 2022年9月号 No.682
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新型コロナ感染症対策に係る資金繰り支援について *41) 財務省ほか「中小企業活性化パッケージを策定しました」 *42) 金融庁「年度末における事業者に対する金融の円滑化について及び事業者等に対する金融の円滑化について等」 *43) 財務省ほか「事業者等に対する金融の円滑化について」 *44) 財務省ほか「ウクライナ情勢・原油価格上昇等を踏まえた資金繰り支援について」 *45) 経済産業省「ウクライナ情勢の変化に伴い中小企業・小規模事業者対策を行います」 https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220225002/20220225002.html*46) 内閣官房「原油価格高騰に対する緊急対策」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genyu_kakau/dai1/gijisidai.html*47) 原油価格高騰等の影響を受けている事業者でも、新型コロナの影響を受けており、かつ売上高が5%減少している事業者であれば、コロナ特貸の対象となる。セーフティネット貸付による支援は、新型コロナの影響を受けないものの、原油価格等のコスト高(利益率の減少)によって苦しむ事業者を主な対象としている。https://www.mof.go.jp/policy/■nancial_system/■scal_■nance/torikumi/20220304.htmlhttps://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20220307.htmlhttps://www.mof.go.jp/policy/■nancial_system/■scal_■nance/torikumi/20220308_yousei.pdfhttps://www.mof.go.jp/policy/■nancial_system/■scal_■nance/torikumi/20220225_yousei.pdfファイナンス 2022 Sep. 43下の施策等を盛り込んだ「中小企業活性化パッケージ」を3月4日に策定・公表した。*41(中小企業活性化パッケージ)〈政府系金融機関による新型コロナ対応の資金繰り支援〉・実質無利子・無担保融資及び危機対応融資の申込期限を6月末まで延長・新型コロナ特別貸付の融資期間の延長(運転資金15年→20年)・コロナ資本性劣後ローンの令和4年度末までの継続〈増大する債務に苦しむ事業者の事業再生等の支援〉・新型コロナの影響が大きい飲食・宿泊業等を債権買取等によって重点支援する中小企業再生ファンドの組成・債務減免を含む中小企業向けの私的整理手続きである「中小企業の事業再生等のガイドライン」の活用このうち「中小企業の事業再生等のガイドライン」は、全国銀行協会を事務局とし、弁護士・税理士・官民金融機関・中小企業団体等から構成される「中小企業の事業再生等に関する研究会」によって策定され、3月4日に公表された。本ガイドラインは、中小企業者の「平時」や「有事」の各段階において、中小企業者・金融機関それぞれが果たすべき役割を明確化し、事業再生等に関する基本的な考え方を示すとともに、中小企業者の特性を考慮した準則型私的整理手続(債務減免を含む)を定めており、中小企業の円滑な事業再生等を支援することを目的としている。加えて、3月7日に開催された「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」では、鈴木金融担当大臣から直接、官民金融機関の代表に対して、本パッケージに盛り込まれた施策も有効に活用しながら、厳しい経営環境にある事業者の支援にしっかりと取り組むよう要請を行った。*42あわせて、3月8日には、金融庁・経済産業省・財務省の連名で、同様の内容を盛り込んだ要請文の発出を行った。*43また、日本国内における新型コロナの年初来の感染拡大と並行して、一部産油国の生産停滞等によって世界的に原油価格が高騰を続けた。さらに、2月24日のロシアによるウクライナ侵略などの地政学的な変化が世界の原油価格等に大きな影響を与える可能性が生じ、新型コロナのみならず、ウクライナ情勢・原油価格高騰等により、事業者にさらなる悪影響が及ぶことが懸念された。こうした中、ロシアによる侵攻の翌日(2月25日)には、ウクライナ情勢・原油価格高騰等の影響を受けた事業者に対する支援として、経済産業省・金融庁・財務省等によって、きめ細やかな資金繰り支援を引き続き徹底するよう、官民金融機関に対して要請文が発出されるとともに*44、経済産業省の要請によって、政府系金融機関など全国1000か所に事業者の資金繰り等に係る特別相談窓口が設置され、日本公庫等のセーフティネット貸付の対象要件が撤廃された。*45さらに、3月4日に公表された「原油価格高騰に対する緊急対策」において*46、ウクライナ情勢や原油価格高騰等の影響を受けて利益率が悪化した事業者に対して、日本公庫等のセーフティネット貸付の金利を0.2%引き下げることを決定した。*47上述のとおり、3月21日には日本全国でまん延防止等重点措置が解除され、新型コロナの第6波の出口が見えてきたが、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものにする観点から、3月29日に岸田総

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