ファイナンス 2022年9月号 No.682
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6令和4年初頭〜足下にかけての動向令和3年12月下旬以降、オミクロン株の拡大によって新型コロナの新規陽性者数は、再び増加の傾向を辿った。令和4年1月中旬には、療養者数と重症者数の増加を踏まえ、感染の再拡大を防止するため、広島県・山口県・沖縄県、そして東京都等を対象にまん延防止等重点措置が実施されることとなった。当該措置は当初3週間程度の期間とされていたが、医療提供体制等への負荷の状況に鑑み、全ての都道府県で措置が終了したのは3月21日となった。*40(図表10)国内の感染者数1日ごとの発表数(令和4年初頭から足下)*38) 金融庁「中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について」https://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20211124.html*39) 東京商工リサーチ「全国企業倒産状況(年間)」https://www.tsr-net.co.jp/news/status/yearly/2021_2nd.html*40) 新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置の終了に関する公示」 (出所)デジタル庁「ワクチン接種記録システム(VRS)」(図表9)国内のワクチン接種数の推移(万人)10,0009,0008,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,00001回目2回目3回目4回目5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月4月5月6月2021年4月https://corona.go.jp/emergency/pdf/kouji_20220317.pdf2022年(出所)NHK「日本国内の感染者数(NHKまとめ)」(人)120,000100,00080,00060,00040,00020,0000国内の感染者数_1日ごとの発表数後方7日間移動平均1月2月3月2022年4月5月に向けて、運転資金等の需要が高まることを踏まえ、事業者の資金繰りに重大な支障が生じることのないよう、鈴木大臣・石井副大臣より直接要望を行っている。*38また、12月20日には、令和3年度補正予算が成立し、同補正予算による追加措置も活用しながら、引き続き、日本公庫等による実質無利子・無担保融資等の資金繰り支援を継続していくこととなった。なお、上述のとおり、日本公庫等の政府系金融機関等では、新型コロナの感染開始当初から、週末についても相談窓口を設けて対応してきたが、年末にかけて新規感染者数が低位で落ち着いて推移しており、また週末相談窓口への相談実績が低位で推移してきたことから、12月末を以て機関による週末の相談窓口対応を終了することとなった。さらに、令和3年1月より、日本公庫等においては、緊急事態宣言下で急速に売上が減少したような事業者についても実質無利子・無担保融資等によって迅速な支援が可能となるよう、直近2週間の売上が新型コロナ前の同時期比で減少していれば特例的に融資対象としてきたが、この特例についても令和3年11月末を以て終了することとなった。新型コロナの資金繰り需要が一巡してきたことで、感染状況も注視しながら、徐々にではあるが、平常化に向けた運用の修正が検討されていくこととなった。なお、政策的な資金繰り支援等の実施によって、令和3年の全国企業倒産は、東京商工リサーチによれば6,030件と57年ぶりの低水準となり*39、コロナ禍の予期せぬ倒産の防止という政策目的の達成がある程度裏付けられることとなったと言える。他方で、令和3年6月に閣議決定された成長戦略実行計画でも言及があったように、コロナ禍が始まってから、資金繰り支援などに伴って積み上がった企業債務を今後どのように解消していくかが潜在的な課題として懸念された。中小企業支援のテーマは、応急処置としての資金繰り支援に加えて、過剰債務対応についても比重が大きくなっていくこととなった。こうした中、新型コロナの影響を受けた事業者について、資金需要が大きくなる年度末を跨いだ資金繰りに引き続き万全を期すとともに、先述の過剰債務対応として、収益力改善や事業再生、再チャレンジを促進するため、経済産業省・金融庁・財務省の連名で、以 42 ファイナンス 2022 Sep.

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