ファイナンス 2022年9月号 No.682
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https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/corona_hiseiki/index.htmlhttps://www.mof.go.jp/policy/■nancial_system/■scal_■nance/torikumi/20210325_yousei.htmlhttps://www.dbj.jp/topics/dbj_news/2020/html/20210325_203173.html資金による支援の拡充〜」https://www.dbj.jp/topics/dbj_news/2020/html/20210331_203199.html*24) 緊急事態宣言の発令等により急激に売上が減少した事業者について、実質無利子・無担保融資等の申込要件(直近1ヶ月の売上とコロナ前の同月の比較)を満たすためには、1ヶ月が経ち売上が確定するまで待たなければならず、資金繰りが滞ることが懸念された。そこで、本来であれば直近1ヶ月間等の売上を基準にコロナ前と比較していたところ、特例的に直近2週間以上の売上を基準とすることを認めた。*25) 内閣官房「新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議」 *26) 財務省ほか「飲食・宿泊等をはじめとする事業者等への資金繰り支援等について」 *27) 日本政策投資銀行「新型コロナウイルス感染症に関し、「危機対応業務特別対応室」および「飲食・宿泊専門チーム」の設置について」 *28) 日本政策投資銀行「飲食・宿泊等をはじめとする事業者に対する日本政策投資銀行の支援策強化について〜政府の要請を受けた資金繰り支援や資本性を1ヶ月間から2週間に短縮)*242月以降は、緊急事態宣言の効果もあり、新規感染者数は減少傾向に転じたものの、依然として医療体制への負荷の軽減には至らなかったこともあり、緊急事態宣言は複数回にわたって延長されることとなった。それまでの資金繰り支援においては、中小・小規模事業者を主な支援対象としてきたが、新型コロナの長期化に伴い、業種という切り口で見ると、これまで地域で多くの雇用を担ってきた飲食業・宿泊業の中堅・大企業に対する影響が深刻化し、金融面での政策対応が求められるようになった。特に、短期的な資金繰り需要に対応するだけでなく、財務基盤の増強を図るため、資本性劣後ローン・優先株等の資本性資金による支援に対するニーズが高まりを見せた。また、中堅企業に関しては、中小企業向け施策の対象とはならないもの、大企業ほど経営基盤が強固でないこともあって厳しい経営環境に置かれており、業種横断的に支援のニーズが高まっていた。このような社会経済情勢を背景に、3月16日の「新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議」において、菅総理大臣(当時)より、これまで多くの雇用を担ってきた飲食業などの事業の継続を支援すべく、資金繰り支援を中心に、金融面の対応策を取り纏めるよう関係省庁に対して指示がなされた。総理指示を受け、各省庁の金融面での支援策を取り纏めた「新型コロナの影響を特に受けている飲食・宿泊等の企業向けの金融支援等について」が策定されるとともに、3月23日の同会議において発表された。*25「新型コロナの影響を特に受けている飲食・宿泊等の企業向けの金融支援等について」に取り纏められた支援策のうち、政策金融に関する施策としては以下の3点となる。(1)政投銀・商工中金による中堅・大企業向けの危機対応業務においては、民業補完の観点から、民間金融機関等との協調融資を行うことが原則とされてきたが、その原則を一時停止することで、飲食・宿泊等以外の分野も含め、政投銀・商工中金が単独で積極的な支援を行うことを可能にする。(2)中堅・大企業の財務基盤増強のため、以下の通り政投銀・商工中金が提供する資本性資金の利便性を向上させる。・資本性劣後ローンについて、金利水準を当初3年間1%程度に引き下げる(中堅企業は飲食・宿泊等以外の分野も含む)・飲食・宿泊業の事業者に関しては、政投銀が引き受ける優先株式の配当水準を大幅に引き下げる(3)政投銀・商工中金に飲食・宿泊部門専門チームを立ち上げ(商工中金は設置済)、事業者のニーズにきめ細かく対応するとともに、審査期間を原則1か月程度に短縮し、迅速な支援を可能にする支援策の発表後、金融庁・経済産業省・財務省をはじめとする関係省庁から官民金融機関に対し、飲食・宿泊等をはじめとする事業者等への資金繰り支援等に関する要請文を3月25日付で発出した。*26特に政投銀においては、同日付で飲食・宿泊専門チームを立ち上げるなど、審査期間の迅速化に向けた取組を開始するとともに*27、事業者の配当支払いの負担の大幅な軽減を図るべく「DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合」を設置するなどの対応を行った。*28こうして措置された飲食・宿泊等向けの支援策に対する事業者のニーズは大きく、支援策が措置された3月末以降、飲食・宿泊等の大企業や中堅企業による資本性資金の調達が進み、令和4年3月末時点で、支援策措置後の中堅企業及び飲食・宿泊等の大企業に対する政投銀による融資実績は100件、金額にして2,496億円、「DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責 38 ファイナンス 2022 Sep.

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