ファイナンス 2022年9月号 No.682
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(出所)NHK「日本国内の感染者数(NHKまとめ)」国内の感染者数_1日ごとの発表数後方7日間移動平均1月2月3月ことで、実質無利子化するもの。同年5月からは、既往債権の借換部分を含めて対応するよう拡充された。https://corona.go.jp/news/pdf/kinkyujitai_sengen_0407.pdfhttps://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html4月2020年5月6月*11) 危機対応業務とは、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害等に対応するため、主務大臣(財務大臣・農林水産大臣・経済産業大臣)による危機認定がなされた場合に、「指定金融機関」が日本公庫からの信用供与を受け、事業者に対する必要な資金の貸付け等を行うもの。現時点においては、政投銀・商工中金が指定金融機関となっている。*12) 新型コロナウイルス感染症の影響により最近1か月の売上高が前年又は前々年同期比5%以上減少した者等を対象とし、国民生活事業は3千万円、中小企業事業は1億円を上限に、融資後3年目までは基準利率から▲0.9%引き下げた利率とする貸付制度。貸付期間は、据置期間を最長5年としつつ、設備資金は20年以内、運転資金は15年以内となっており、融資限度額は、国民生活事業で別枠6千万円、中小企業事業で別枠3億円となっていた。(※制度創設当時の融資条件)*13) 「新型コロナウイルス感染症特別貸付制度」を受けている事業者であって、一定の要件を満たした者に対して、借入当初3年間の利子補給を実施する*14) 新型コロナウイルス等感染症対策推進室「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言(令和2年4月7日発出)」 *15) 内閣府「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策〜国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ〜」 *16) 金融庁「民間金融機関において実質無利子・無担保融資を開始します」https://www.fsa.go.jp/news/r1/ginkou/20200501-2.htmlけた事業者を対象とする特別貸付制度を創設するとともに、これまでは中小・小規模事業者に対する支援が主であったところ、中堅・大企業に対しても信用供与が行き渡るよう、商工組合中央金庫(以下、「商工中金」という。)や政投銀による危機対応業務*11を発動した。このことにより、支援の内容・対象範囲ともに、新型コロナに対応した、本格的な資金繰り支援体制が整備されることとなった。(図表1)国内の感染者数1日ごとの発表数(令和2年初頭から年央)(人)1,0009008007006005004003002001000・政投銀、商工中金による危機対応業務を実施し、中堅・大企業の資金繰りについても万全を期すこのように体制整備が進んだ一方で、4月に入ると、国内の1日あたりの感染者数が300人規模まで増加し(緊急対応策第2弾)・日本公庫等において、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度(以下「コロナ特貸」という。)*12を創設・売上減少の影響が大きい中小・小規模事業者については、コロナ特貸による金利引下げに加え、金利引下げ後の残りの金利分についても、事業者に対して別途利子補給として補填することにより、コロナ特貸等を実質的に無利子化し、「実質無利子・無担保融資」とする*13たことから、4月7日に首都圏等を対象として緊急事態宣言が発令され*14、同月16日には宣言が全国に拡大した。13都道府県にあっては「特定警戒都道府県」と指定され、最終的に5月25日まで緊急事態宣言が継続されることとなった。政府は、緊急事態宣言の発令と併せて「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を決定・公表し*15、同対策に基づき、令和2年度第1次補正予算が編成され、国会審議を経て4月30日に成立した。これにより、予備費に加えて補正予算を活用した一層強力な資金繰り支援が可能となった。また、この時期には、感染者数の急増と先行きの不透明感の高まりから日本公庫等への融資申込みが集中、窓口業務がひっ迫し、融資審査期間が長期化したことを受け、新型コロナ対応の融資制度の申込み窓口を各民間金融機関にも広げ、政府系金融機関に加えて、民間金融機関においても実質無利子・無担保融資の提供を可能とした。*16(第1次補正予算)・民間金融機関による融資についても、信用保証によって無担保としつつ、利子補給を組み合わせることにより、その融資を実質無利子・無担保とすることができる制度を創設(本制度は「ゼロゼロ融資」と呼ばれた)・実質無利子・無担保融資等で、日本公庫等による融資や保証付き民間融資によって既に負っている債務(既往債務)の借換えを可能とする 等その後、5月7日には1日あたりの感染者数が100人を下回るようになり、第1波のピークを過ぎたものの、緊急事態宣言に伴う休業要請等による事業者への影響は大きく、日本公庫等への融資相談件数は引き続き高い水準にあった。さらに、この頃になると、単な 34 ファイナンス 2022 Sep.

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