ファイナンス 2022年9月号 No.682
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財務省における公文書の電子的管理の取組等について *20) 昨事務年度のメンバーは以下のとおり。二宮悦郎室長、津田広和補佐、籠島敬幸補佐、村上純補佐、柴田憲一郎係長、末廣夏乃係員、村上顕係長、杉元洋平係員、鈴木清香補佐、寺谷正美専門官、髙木将宏係長、岸根あゆみ主任、鈴木浩一係員、前田直紀補佐、服部晃平係長、竹内由夏係員、進祥大係員プロフィール渡部 晶(わたべ あきら)前・大臣官房公文書監理官1963年福島県生まれ。87年京都大学法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。福岡市総務企画局長、財務省大臣官房地方課長、内閣府大臣官房審議官(沖縄政策担当)、沖縄振興開発公庫副理事長などを経て、22年6月から財務省大臣官房政策立案総括審議官。「月刊コロンブス」(東方通信社)で書評コラムを掲載中。出身の福島県いわき市の応援大使を務める。デジタルアーカイブ学会員 本年4月より、インターネットのジョルダンニュースで、「観光を起爆剤に誇れるわが街に」と題した記事を不定期投稿。筆者者近影(フレディ(3歳7か月)といわき市薄磯海岸にて)ファイナンス 2022 Sep. 31うな壁を乗り越えるためにも、この「情報ガバナンス」という新しい発想について更なる研究・理解の促進が求められている。(追補)筆者は、本年はじめより、2017年5月に設立された「デジタルアーカイブ学会」(吉見俊哉会長)に個人的に参加している。ホームページは、http://digitalarchivejapan.org/である。この学会は、「21世紀日本のデジタル知識基盤構築のために、デジタルアーカイブに関わる関係者の経験と技術を交流・共有し、その一層の発展を目指し、人材の育成、技術研究の促進、メタデータを含む標準化に取り組みます。さらに、国と自治体、市民、企業の連携、オープンサイエンスの基盤となる公共的デジタおわりに前出の服部龍二著『外交を記録し、公開する~なぜ公文書管理が重要なのか』は、はしがきの冒頭で、「文書による行政は官僚制の大きな特徴である。マックス・ウェーバー(Max Weber)は合法的支配、伝統的支配、カリスマ的支配の3類型を区分し、合法的支配たる官僚制の性質として、規則に基づく権限や官職階層性とともに文書主義を挙げた」と指摘している。この官僚制の本質にかかわる文書主義(行政事務の遂行に当たっては、記録として文書を作成すること)は、最近動揺激しい公務員制度の再構築にも密接に関連していると思われる。我々は今一度初心に立ち返ることが必要になっているのかもしれない。(本稿の資料作成において、村上顕・大臣官房文書課公文書監理室公文書監理係長を煩わせた。村上係長を含む、2021事務年度において筆者とともに財務省の情報公開制度・公文書管理制度の運用に携わった二宮悦郎・前情報公開・個人情報保護室長兼公文書監理室長(現・欧州連合日本政府代表部参事官)ほか同室のメンバー*20にも謝したい。ただし、本稿で、ありうべき誤りなど文責は筆者にあり、意見にわたる部分は筆者個人の見解である。)ルアーカイブの構築、地域のデジタルアーカイブ構築を支援するとともに、これらの諸方策の根幹をなすデジタル知識基盤社会の法制度がいかにあるべきかについても検討をおこないます。デジタルアーカイブに取り組む諸関連学会、研究者を繋ぎ、共通の認識基盤を形成しながらこうした具体的課題に取り組みます。」というものである。行政文書の電子的管理も、このデジタル知識基盤の重要な構成要素の1つと考えられる。このような広い視点から、財務省の今回の取組が持つ歴史的な意義を評価することもできよう。(以上)

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