ファイナンス 2022年9月号 No.682
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*15) https://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2022/0728haifu.html*16) 「戦後日本における公文書管理システムの形成―行政運営をめぐる規範・組織・人間」『年報行政研究』第55号(日本行政学会編 ぎょうせい 20203「公文書の電子的管理」への財務省の*13) 国立印刷局「令和4年度事業計画」P6参照のこと *14) 「財務省行政情報化LANシステム(ネットワーク基盤)業務 一式(賃貸借期間:令和4年1月1日から令和7年3月31日)」は、一般競争入札(総合評価方式)で入札に付され、財務省会計課は、日本電気株式会社(東京都港区芝5−7−1)とNECキャピタルソリューション株式会社(東京都港区港南2−15−3)と2021年3月16日に契約金額41億794万1380円で契約を締結している。また、「財務省行政情報化LANシステム再構築に係る工程管理支援等に関するコンサルティング業務 一式」は、一般競争入札(総合評価方式)で入札に付され、財務省会計課は、株式会社野村総合研究所(東京都千代田区大手町1−9−2)と2020年4月23日に契約金額2億5245万円で契約を締結している。(「「公共調達の適正化について」(平成18年8月25日付財計第2017号)に基づく競争入札に係る情報の公表(物品・役務等)及び公益法人に対する支出の公表・点検の方針について」(平成24年6月1日行政改革実行本部決定)に基づく情報の公開)https://www.mof.go.jp/application-contact/procurement/approach/tekiseika/index.htmhttps://www.npb.go.jp/ja/guide/uploads/20220330_jigyokeikakuR4.pdf年5月)地方支分部局の行政文書を検証素材として、調査研究を実施としている。なお、国立印刷局の「令和4年度事業計画」(2022年3月30日)では、「「紙媒体を電子媒体に転換する場合の扱い、行政文書ファイルが紙媒体と電子媒体で混在する場合の管理の手順等」(令和3年3月25日内閣府公文書管理課)等に基づき、財務省大臣官房文書課と協議した上で行った行政文書の電子化に係る調査研究・検証結果の結果を踏まえ、財務省等が取り組む行政文書の電子化作業に協力します」とされている*13。また、「進捗報告 参考資料」に「来事務年度」(筆者注:2022事務年度)の課題が記載されている。「文書管理に関する実効ある更なる取り組み」において、・電子的管理について、本省においては、2024年度の本格的な導入を目指し、段階的に先行課室を拡充しながら、課題を抽出のうえ、必要な改良を実施していく予定。地方支分部局についても、2025年度以降の各組織ごとのLANシステム更改に合わせ導入することを検討・電子的管理について、研修等の機会をとらえて、地方支分部局に取組の進捗状況について情報発信・紙媒体の過年度行政文書の電子化(PDF化作業)についてニーズを的確に把握し、取組を推進・行政文書の原則電子化を踏まえ、文書管理に関する実地監査を通じて、行政文書の電子化の徹底を指導としているところである。財務省本省では、2022年2月にLANを更改した*14。これにより、クラウドサービスの活用やBYOD(Bring Your Own Device)等の利便性の向上が図られた。文書管理についても、これを前提に、2021年6月25日に公表した「進捗報告 参考資料」では、「文書管理に関する実効性ある更なる取組」を掲げ、具体的な内容として、「行政文書の電子的管理を推進し、行政文書をより体系的・効率的に管理することで、適正な文書管理を確保」を「来事務年度」(筆者注:2021年度)の課題としたのであった。この取組については、上記2.で述べたが、中央省庁初の取組であったことから、図らずも各省庁が今後公文書の電子的管理を具体的に進めていくためのモデルケースとなった。公文書監理室、情報公開・個人情報保護室においては、システム部門と協力して、全力で取り組み、そこから得たものについて、内閣府公文書管理課をはじめとする各府省の公文書管理の担当部署と共有することができた。その結果として、前述の2022年7月28日開催の第97回公文書管理委員会で議題となった「新たに整備する文書管理のための情報システムで扱う行政文書及び業務の範囲並びに業務フローについて」に関する資料*15に、財務省のシステム構築に向けた苦労や知見を反映させることができ、制度官庁や各省の担当部署の今後の円滑な取組に貢献することができたものと自負している。歴史をさかのぼれば、大蔵省が先駆的なモデルであったという「公文書管理」の歴史は過去にもあった。下重直樹氏(学習院大学文学部准教授)の研究*16によれば、戦後、人事院は公務能率研究を展開し、主権回復後の1952年5月に公務能率研究会を設け、同年6月から1956年3月の第13回まで定期的な会合が開催され、公文書の様式や文書交換などについて議論が交わされた。「第1回目の文書部会において披露された100条を超える「大蔵省文書管理規則」(52年訓令第1号)は、管見の限りでは行政事務の領 28 ファイナンス 2022 Sep.貢献

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