ファイナンス 2022年9月号 No.682
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1「公文書管理の適正の確保のための取組https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/johokokai/shisei/023.html*1) 福岡市HP「情報公開制度について」 *2) 答申には、「なお,公文書を適正に保存することは,情報公開上の重要性に加えて,歴史的・文化的価値のある資料を後世に残すという意義も認められるため,国や一部の地方自治体においては,「公文書館」が設置されている。本市においては,総合図書館において公文書館機能を担っているが,後世の市民へ歴史的・文化的に価値のある資料を確実に伝えていくことの重要性に鑑み,本市における公文書館機能のより一層の充実が望まれるところである。」と記述された。*3) https://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/tekisei/honbun.pdf前・大臣官房公文書監理官 渡部 晶(1) 「公文書管理の適正の確保のための取組について」(2018年7月20日行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議決定)はじめに公文書管理法(公文書等の管理に関する法律)が2011年4月1日に、また、いわゆる情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)が2001年4月1日に施行されたことから、昨年(2021年)は、それぞれ法施行10年、20年の節目の年であった。特に、公文書管理の分野では、デジタルの波が押し寄せてきており、実務的な課題が山積している。昨事務年度(2021年7月~2022年6月)に、筆者は、大臣官房公文書監理官を拝命した。財務省組織令第11条第4項において、「公文書監理官は、命を受けて、財務省の所掌事務に関する公文書類の管理並びにこれに関連する情報の公開及び個人情報の保護の適正な実施の確保に係る重要事項についての事務並びに関係事務を総括整理する」と規定されている、いわゆる「総括整理職」である。「公文書管理の適正の確保のための取組について」(後掲)に基づき2019年度から各省に設置された比較的新しい職である。財務省においても2019年4月に公文書監理官及び大臣官房文書課公文書監理室が設置された。2008年7月から1年間大臣官房文書課情報公開・個人情報保護室長をしていたことがあったが、それ以来のこの分野での業務となった。なお、上記の公文書管理法は、2009年7月1日に公布されており、法案(与野党合意による法案の修正も含む)を当時担当として勉強したことは覚えている。また、2001年2月から2003年7月まで福岡市に出向したが、その際の最初の仕事が、前任の総務企画局長が収賄罪で逮捕された市政の混乱の収拾への取組に加えて、福岡市の情報公開条例の見直しであった。「福岡市における情報公開制度のあり方について(答申)」(2001年12月)*1は、筆者が担当局長として事務局を務めたものであるが、公文書管理の充実についても言及がある*2。本稿は、昨事務年度のこの分野における財務省の取組を中心に紹介するものである。まず、はじめに、最近の政府全体における公文書管理政策の動向について簡単に整理しておきたい。公文書管理についての、政府の取組に関する最近の重要な文書は、「行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議」(2018年6月5日閣議決定で設置)で決定された「公文書管理の適正の確保のための取組について」(2018年7月20日行政文書の管理の在り方等に関する閣僚会議決定)*3である。本文書は、「職員一人ひとりが、公文書は国家公務員の所有物ではなく健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であり、行政文書の作成・保存は決して付随的業務ではなく、国家公務員の本質的な業務そのものであることを肝に銘じて職務を遂行し、公務員文化として根付かせていく」との基本理念のもとに作成された。取組の方向性としては、文書管理の 24 ファイナンス 2022 Sep.について」以降の政府全体の取組動向財務省における公文書の 電子的管理の取組等について

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