ファイナンス 2022年9月号 No.682
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記 図表6 入札により発行される10年利付国債の情報非価格競争入札入門1.名称及び記号2.発行根拠法律及びその条項3.表面利率4.発行日5.利子支払期6.償還期限7.発行予定額8.入札の方法9.応募額一口の金額(1)価格競争入札(2)非競争入札(3)国債市場特別参加者 ・第I非価格競争入札10.募入決定の方法(1)価格競争入札(2)非競争入札(3)国債市場特別参加者 ・第I非価格競争入札11.発行価格(1)価格競争入札(2)非競争入札(3)国債市場特別参加者 ・第I非価格競争入札12.申込締切日時13.募入決定通知日14.払込期日本日午後2時より、上記価格競争入札の結果に基づき、国債市場特別参加者を対象として、第II非価格競争入札を実施する予定です。*16) 2年・5年・10年国債の場合、「価格競争入札+第I非価格競争入札+非競争入札」となります(それ以外の年限については「価格競争入札+第I非価格競争入札」となります)。利付国庫債券(10年)(第366回)特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第46条第1項年0.2パーセント令和4年5月11日毎年3月20日及び9月20日令和14年3月20日額面金額で2兆7,000億円程度価格競争入札、非競争入札及び国債市場特別参加者・第I非価格競争入札(ただし、価格競争入札及び非競争入札については、応募はいずれか一方に限ります。)1億円又はその整数倍百万円又はその整数倍1億円又はその整数倍コンベンショナル方式案分による割り当て(ただし、応募限度額は各応募者につき10億円とします。)各国債市場特別参加者ごとの応募限度額の範囲内において各申込みの応募額を割り当て募入となったものにつきそれぞれの応募価格価格競争入札における募入平均価格価格競争入札における募入平均価格令和4年5月10日  午前11時50分令和4年5月10日令和4年5月11日ファイナンス 2022 Sep. 19ください)。入札前には、表面利率(いわゆるクーポン)や年限、おおよその発行予定額が開示されます(このような入札の情報は当日の10時30分に開示されます)。発行予定額は、「価格競争入札+第I非価格競争入札+非競争入札」で定まり*16、価格競争入札の額は、第I非価格競争入札及び非競争入札を振り分けた後の残りの額となります。入札の結果は12時35分に発表されます。図表7は2022年5月に実施された10年国債入札の結果を示しています。募入最低価格が99円53銭と記載されていますが、これは価格競争入札により定まった最も低い発行価格です。詳細は石田・服部(2020)に譲りますが、コンベンショナル方式の場合、発行当局にとって有利である応札価格が高い札から、その応札価格で落札していきます。ここでの最低価格は、発行当局が目標とする発行額に達する価格と解され、経済学の言葉を使えば需要と供給が一致する価格とも解釈できます。一方、図表7では募入平均価格が99円56銭と記載されています。これは、価格競争入札で発行当局にとって有利である応札価格が高いものから落札していった結果、落札者に割り当てられた額の平均価格を示しています。そして、第I・第II非価格競争入札では、この平均価格で購入することになります。例えば、読者が第I非価格競争入札について100億円応札する場合、99円56銭の価格で、額面100億円分の10年国債を購入できるということを意味します。その後、読者は、14時30分までに、自分の与えられた枠の範囲で、第II非価格競争入札に参加して平均価格で購入するかどうかを選択することになります。第II非価格競争入札は前述のとおり、読者にとっての「オプション」であるため、行使の有無や金額を選択することができます。仮に、14時30分時点における市場価格が99円56銭より高い場合、平均価格である99円56銭で買えばキャピタル・ゲインが得られます。3.2 価格競争入札後

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