ファイナンス 2022年9月号 No.682
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3非価格競争入札の実際のイメージ3.1 価格競争入札前図表4 価格競争入札及び非価格競争入札の制度の変遷図表5 国債発行計画:消化方式別2004/10(注)nはPDの数価格競争入札(応札責任)発行予定額の時期3%以上2005/42009/12015/42017/72020/13%→4%4%→5%2020/42022/35%→100/n%第I非価格競争入札第II非価格競争入札(発行限度額)(応札限度額)開始:落札額の10%開始:発行予定額の10%10%→15%10%→20%15%→10%物価連動国債について第II非価格競争入札の取りやめ区分カレンダーベース市中発行額第II非価格競争入札等年度間調整分市中発行分 計個人向け販売分公的部門(日銀乗換)合  計当初(a)2,214,00082,3007822,297,08241,00022,0002,360,082(b)2,122,00070,3198592,193,17828,40522,0002,243,583補正後(b)-(a)▲92,000▲11,98177▲103,904▲12,595-▲116,499*14) ここではT-billではなくて利付国債を前提に説明しています。T-billの場合については債務管理リポート等を参照してください。*15) 財務省のウェブサイト(issuanceplan201221.pdf(mof.go.jp))によると「第II非価格競争入札等として、第II非価格競争入札に係る発行予定額のほか、カレンダーベース市中発行額と実際の発行収入金との差額の見込みを計上している」とされています。本稿で紹介した第I非価格競争入札と非競争入札は、図表5では「カレンダーベース市中発行額」に計上されています。前述のとおり、毎回の入札において、価格競争入札による発行額は、発行予定額から第I非価格競争入札及び非競争入札を振り分けた後の残りの額となります(本稿で説明したとおり、第I非価格競争入札と非競争入札におけるオプションがどの程度行使されるかには不確実性がありますが、発行予定額は安定しています)。このような特性から、「カレンダーベース市中発行額」は、価格競争入札、第I非価格競争入札、非競争入札の合計額という整理がなされています。(単位:億円)I・第II非価格競争入札に参加することができます。入札が始まるまでに、読者は多くの投資家に国債の営業を行い、投資家からの需要に応じて、基本的には価格競争入札に応札します。他方、第I非価格競争入札にも応札できる枠があるため、その時々の判断で第I非価格競争入札にも参加します。読者としては投資家から平均価格で買いたいというニーズが多ければ、自らが有する枠の範囲で積極的に参加することになりますし、それほど平均価格で購入するニーズがなければ、必ずしも枠を使い切る必要はなく、余らせることもあります。価格競争入札と同時に参加するため、11時50分*14までに日銀ネットを通じて応札します(価格競争入札の例は石田・服部(2020)のBOX 2を参照してください)。*15図表6は2022年5月に実施された10年国債入札の情報です(ここから2022年5月の10年国債の入札の結果を用いて解説していきますが、これはあくまで例であり、説明の便宜上用いるだけである点に注意してここから非価格競争入札のイメージを具体的に掴むため、読者がPDの立場になって、非価格競争入札について考えてみましょう。読者は国債を投資家に販売するため、入札において国債の応札を行うわけですが、前述のとおり、価格競争入札に加え、(過去の落札・応札実績等に基づく)自らの限度の範囲で、第BOX 1 国債発行計画における非価格競争入札図表5は、令和3年度(2021年度)における消化方式別で見た国債発行予定額です。これによると、令和3年度(2021年度)における当初の発行予定額が約224兆円であるところ、個人向け国債の発行額や日銀乗換を除いた、マーケットで発行される金額(いわゆる「市中発行額」)は約219兆円になります。そのうち、第II非価格競争入札等*15の金額は7兆円程度であり、3.2%程度にとどまります。第II非価格競争入札は前述のとおり、後場の市場次第で行使されるかどうかが大きく変わるため、この金額はあくまで当初の想定である点に注意が必要です。 18 ファイナンス 2022 Sep.

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