ファイナンス 2022年9月号 No.682
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2令和5年度概算要求基準の基本的な考1はじめに令和5年度予算編成においては、我が国が直面する内外の重要課題への取組を本格化していくことが求められている。https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_work■ow/budget/fy2023.html*1) 令和4年6月7日閣議決定。*2) 令和3年6月18日閣議決定。*3) 本文は、以下の財務省ウェブサイトから参照可能。 *4) 令和4年6月7日閣議決定。主計局総務課主計官 一松 旬すなわち、「新しい資本主義」の実現に向けた施策を具体化していく必要がある。人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)への重点投資を官民連携の下で推進するとともに、エネルギーや食料を含めた経済安全保障を徹底していかなければならない。あわせて、こども政策の充実を図り、全世代型社会保障を構築していくことも重要である。また、ロシアによるウクライナ侵略のほか、インド太平洋地域においても、安全保障環境は一層厳しさを増している。そうした中で、日本の安全保障を確保し国民の生命と暮らしを守り抜くため、新たな国家安全保障戦略を策定し、防衛力を抜本的に強化していく必要がある。令和5年度予算においては、これらの重要かつ困難な課題に応えつつ、これまでの歳出改革努力を継続し、経済再生と財政健全化をしっかりと進めていくことが求められている。すなわち、必要な政策対応と財政健全化目標に取り組むことは決して矛盾するものではない。経済をしっかり立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいく。ただし、感染症及び直近の物価高の影響を始め、内外の経済情勢等を常に注視していく必要がある。令和5年度予算においては、「経済財政運営と改革の基本方針2022」*1(以下「基本方針2022」という。)及び「経済財政運営と改革の基本方針2021」*2(以下「基本方針2021」という。)に基づき、経済・財政一体改革を着実に進めながら、歳出全般にわたり、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化していく方針である。このような基本的な考え方の下、「令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」*3(以下「令和5年度概算要求基準」という。)が本年7月29日に閣議了解されたところである。令和5年度概算要求基準の大要は、以下のとおりである。1) 地方交付税交付金等、年金・医療等、裁量的経費及び義務的経費の8月末までの要求・要望の仕組みは、前年度までの仕組みと同じ枠組を踏襲している。2) その上で、「基本方針2022」における「重要な政策の選択肢をせばめることがないよう」にするという方針に則る観点から、「基本方針2022」及び「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」*4(以下「新しい資本主義実行計画」という。)等を踏まえた重要政策については、「重要政策推進枠」として別途要望を可能としているほか、新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策等を含めた重要政策については、必要に応じて、「重要政策推進枠」や事項のみの要求も含 10 ファイナンス 2022 Sep.え方令和5年度概算要求基準の概要

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