ファイナンス 2022年8月号 No.681
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(Air-NACCS)稼働●不正薬物の押収量が●成田空港に税関検査場 ●東京税関設置●長崎税関設置スマート税関構想2020の発表史上初の3トン超電子申告ゲートを導入通関関係書類の電子化・ペーパーレス化AEO(認定事業者)制度の導入不正薬物・爆発物探知装置(TDS)導入シングルウィンドウ(輸入港湾関連手続)供用開始大型X線検査装置導入長崎税関に大型監視艇「なんせい」を配備輸入貨物に対する予備審査制の導入航空貨物通関情報処理システム沖縄返還、沖縄地区税関設置関税に申告納税制度を導入関税協力理事会(正式名CCC、通称WCO)に加入(横浜税関から独立)(門司税関から独立)税関官制公布、税関再開(横浜・神戸・大阪・名古屋・門司・函館税関を設置)沖縄地区税関。通関窓口の様子194619531964195219661972197819721953((下上)東)長京崎税税関関。。199119982001200320052006201320192020鳥島南西方沖において洋上 取引された覚醒剤約1トンを 静岡県賀茂郡南伊豆町の海岸 において摘発(6月)。20192001コンテナ貨物の全量取出検査は1本当たり2時間程度かかるが、この装置では10分程度で検査が可能となり、検査時間が大幅に短縮された。1998海上巡回により不審事象や不審船舶の発見、漁船等を 利用した洋上取引への対処等で活躍。2005貨物や手荷物に付着した薬物や爆発物の微粒子を即時に探知できる。ファイナンス 2022 Aug. 5さらに、平成3(1991)年には、貨物の早期引取りを可能とするよう、貨物の到着前に輸入申告に対する審査を行う予備審査制を導入したほか、平成18(2006)年には、法令遵守等の体制が整備された事業者に手続きの緩和・簡素化等のベネフィットを提供する認定事業者(AEO)制度を導入し、貿易の円滑化とセキュリティの確保の両立に取り組んだ。国際的な面に目を向けると、戦後の国際貿易は「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」が規律していたが、日本を含むGATT加盟国による自由化交渉を通じて貿易の自由化が進む中、国際的にも貿易円滑化は重要なテーマとなっていった。平成14(2002)年に我が国にとって最初の経済連携協定(EPA)がシンガポールとの間で発効したことを皮切りに、現在までに21のEPAが発効又は署名済であるが、それぞれの協定にも貿易円滑化の規定が盛り込まれている。また、GATTを発展的に引き継ぎ、平成7(1995)年に設立された世界貿易機関(WTO)においても、貿易円滑化協定がまとめられ、平成29(2017)年に発効した。日本人(御厨事務総局長)が組織のトップを務めるWCOにおいても、税関手続の国際的な標準化・簡素化を通じた貿易の円滑化を推進している。関税局・税関は、こうした国際的な貿易の自由化・円滑化の枠組みづくりに積極的に参画・貢献するとともに、国内の税関手続の不断の見直しを通じて、貿易の円滑化に取り組んでいる。出入国者についてみると、昭和39(1964)年に日本人の海外旅行が自由化されて以降、同年から昭和48(1973)年までの10年間で出入国者数が約102万人から約615万人まで急増した。その後も増加の一途をたどり、アジアを中心とした旺盛なインバウンド需要も相俟って、令和元(2019)年の出入国者数は、過去最多の約1億264万人を記録した。このようにヒト・モノの動きが活発化する中、不正薬物等の密輸手口は多様化・巧妙化し、税関では、迅速な通関を確保しながら厳格な取締りを実施するため、順次、麻薬探知犬やX線検査装置等の検査機器を導入したほか、近年においては、AIやドローン等の先端技術を用いた取締・検査機器の活用を開始した。税関は、多様化・巧妙化する密輸やテロ等の新たな国際的な脅威にも対応するために、常にその時代の最新機器を使用しながら密輸阻止に取り組んでいる。これからも貿易の健全な発展と安全・安心な社会を実現し、国民一人ひとりの幸せを守っていくため、変化する社会情勢に応じ、中長期ビジョンで取り組む必要がある。そこで令和2(2020)年6月に打ち出したのが、「スマート税関構想2020」である。進化「スマート税関構想2020」で 世界最先端の税関を実現へ明治5(1872)年の発足から令和4(2022)年までの150年間、税関は時代の変化に対応しながら進化してきた。

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