ファイナンス 2022年8月号 No.681
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2保護関税1財政関税令和3年の全国税関における関税法違反事件の取締状況[関税の2つの目的] 税関は、海外から輸入される貨物について 関税及び消費税等を徴収している。税関による徴収額(消費税等含む)は、国税税収の約14.1%(令和2年度で約9.1兆円)を占める重要な財政収入となっている。薬物、銃器を始め、テロ関連物資、知的財産侵害物品等の社会の安全安心を脅かす物品が国内に入る前に水際で阻止している。不正薬物 金地金 知的財産侵害物品差止数量 押収量国産品と競争する輸入品に関税が課され、輸入コストが引き上げられることで、国内産業を保護することができる。約1,138kg約27kg約82万点ファイナンス 2022 Aug. 3税関の役割役割を果たしているのかを紹介する。日本と外国との間で様々な商品が行き交う貿易は、我が国の産業を発展させ、国民生活を豊かにする原動力である。ただし、国境を越えて商品が行き交う上では、守らなければならないルールがある。海外から不正薬物等の社会悪物品が国内に入ると国民の生命・健康が脅かされ、また、我が国で開発された製品や技術が海外に不正に流出すれば国の安全を損なうことにつながりかねない。更に、安価な外国商品の流入により国内産業の発展が阻害されるおそれがある。税関は「税」と「関」=二つの顔を持つ機関輸入品に税を課す徴税機関水際の関所としての取締機関安全・安心な社会の実現、 貿易の健全な発展のために税関の歴史を振り返る前に、「税関」がどういったこのため税関は、輸出入貨物の検査を実施することで輸出入してはならない貨物を水際で阻止したり、外国からの貨物に対して関税等を徴収することで、貿易の健全な発展のために重要な役割を果たしている。また、税関は、国際社会の安全、内外の社会経済秩序の維持にも貢献するため、世界全体で流通を阻止すべき薬物、テロ関連物資、知的財産侵害物品を取り締まるとともに、世界税関機構(WCO)等の国際機関や外国税関と協力しながら、世界規模での通関の迅速化による貿易の促進を図っている。では、今日の税関が長い歴史の中でどのように成長してきたのか。150周年の歴史を「誕生」、「飛躍」、「進化」の3段階に分けて紹介する。税関の3つの使命1 適正かつ公平な関税等の徴収2 安全・安心な社会の実現3 貿易の円滑化貿易の健全な発展に取り組む

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