ファイナンス 2022年8月号 No.681
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*1) https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2021/shigoto.htmlTowardaResilient,Inclusive,andDigitalFutureinAsia―財務省総合政策研究所 前主任研究官 曽我 奈津子/主任研究官 安藤 健太/ 主任研究官 伴 真由美/前研究官 山本 高大/前研究員 網谷 理沙/研究員 椛田 大介神林龍座長インタビュー財務総合政策研究所総務研究部長 上田 淳二/総括主任研究官 鶴岡 将司/ 前研究官 山本 高大/総務課研究企画係長 千葉 友愛神林龍 一橋大学経済研究所教授「仕事・働き方・賃金に関する研究会− 一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて」 神林龍座長インタビュー上田淳二 財務総合政策研究所総務研究部長10「仕事・働き方・賃金に関する研究会-一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて」TheSeventhTokyoFiscalForum―FiscalPolicyaftertheCOVID-19crisis:財務総合政策研究所(財務総研)は、2021年10月から2022年5月にかけて「仕事・働き方・賃金に関する研究会-一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて」を開催しました。研究会では、仕事・タスクの男女分布の変化、税制や社会保障制度が人々の行動に及ぼす効果、男女の固定的役割分担を解消し長時間労働を減らすためのマネジメントの役割、自営と雇用の間での人の移動が人的資本の形成に及ぼす影響など、仕事・働き方・賃金に関するテーマについて、活発な議論が行われました。その議論の内容は、本年6月に、研究会の報告書として財務総研のウェブサイトで公表されています*1。本稿では、研究会の座長を務めていただいた神林龍一橋大学教授に、研究会の議論のポイントや、仕事・働き方・賃金について今後考えるべき点について、お話を伺いました。行っている。2020年に日本学士院賞受賞。2000年に東京大学で博士号(経済学)を取得した後、東京都立大学助教授、スタンフォード大学経済学部客員研究員などを経て、2015年より現職。専門は労働経済学で、日本の労働市場に関して多くの実証研究を1.研究会の狙いと期待(上田総務研究部長)このたびは、財務総研の研究会の座長を引き受けていただき、ありがとうございました。この研究会を始めるにあたっては、仕事・働き方・賃金に関して、マネジメントの役割、税制や社会保障制度の影響、タスクの分布の変化、自営と雇用の移動といった一見関係なさそうに見える様々なことが、互いに関係しつつ、例えば男女の賃金や労働時間の違いなど、日本の労働市場で観察される特徴的な現1994年、大蔵省(当時)入省。財政・経済政策に関する幅広い業務に従事するとともに、京都大学経済研究所や国際通貨基金等において様々な経済分析も実施。2020年より現職。【報告書の主な論点】○働き方は変わったのか?・自ら就業を調整する動きはみられるのか?・自営業の位置づけの変化○男女間のギャップを埋めるために何をすべきか?・働き方の柔軟性を高める取組み・ジェンダーバイアスを回避する対応○必要な第三者介入は何か?・取組みの見える化を活用・就業形態に依存しない人的資本の蓄積をする必要 44 ファイナンス 2022 Aug.

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