ファイナンス 2022年8月号 No.681
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0902105 2030年代早期2025年2020年2014年(図表11)研究開発法人による出資の 拡大について(制度の変遷)(図表15)分野別のリモートセンシングコラム 経済トレンド 98(出所)総務省「宙を拓くタスクフォース」報告書、文部科学省「国立研究開発法人審議会(第18回)配付資料」、株式会社NTTデータ経営研究所「長期的な宇宙ビジネス市場規模の試算」(出所)株式会社NTTデータ経営研究所「衛星データ利活用ビジネスの国内市場(将来目標)」、内閣府「衛星データをビジネスに利用したグッドプラクティス事例集【第2版】」・官需の割合が高い日本においては、宇宙ベンチャーの活躍は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共創する企業にとどまっており、欧米に比べると、その数は遥かに少ない(図表9)。日本の宇宙ベンチャーは、投資家からの認知度が低く、投資家も少ないため、ベンチャーキャピタルからの資金調達が得られにくいと言われている(図表10)。・宇宙ベンチャーの参入を促進するべく、昨年「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」が施行された。これに伴ってJAXAは、JAXAの研究開発成果をより効果的に活用できるビジネスや、新しい市場形成及びイノベーションを喚起するようなビジネスに対して、出資等による支援ができるようになった(図表11)。・今後、こうした手法を活用した事業の拡大を含め、日本の宇宙産業市場規模も拡大していくことが期待されている(図表12)。(図表9)事業領域別スタートアップ企業(日本)(図表10)宇宙ベンチャーの資金調達額の推移(左:世界全体、右:日本)・宇宙ビジネスの中では、インターネットと衛星ブロードバンドのウェイト拡大が見込まれており、それらを用いた衛星サービス事業が大きく進展していくことが期待される。これまでも、リモートセンシング※による衛星データ利活用ビジネスの市場が、年平均11.4%で拡大してきた(図表13)。※人工衛星や航空機などに搭載したセンサー(測定器)を用いて、大気や地表の状況を広域的かつ短時間で観測すること。・日本に限定した衛星データ利活用ビジネスの市場規模は、2030年代早期において、既存活用領域で約521億円と想定されている。また、民間企業によるマーケティング等への活用領域の拡大が実現されれば、その潜在的な市場を含めて約963億円まで拡大すると見込まれている(図表14)。これまで、衛星データは気象や地理の分野において多く利活用されてきたが、今後新たな分野での利活用が進むことで、利活用ビジネスの潜在的な市場がさらに拡大していく可能性がある(図表15)。・衛星データ利活用ビジネスが新たな分野に拡大し、宇宙ベンチャーがその担い手となれば、宇宙産業の経済規模が大きくなり、GDPの成長にも貢献することが期待される。(図表13)衛星データ利活用ビジネスの市場規模(世界全体)3社1社5社13社5社(億円)4,0003,0002,0001,00003,2481,0872011-20152016(10億ドル)2.5年平均成長率11.4%1.50.5201220132014(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。衛星インフラ構築・運用/衛星活用サービス輸送システム宇宙探査・有人宇宙活動宇宙環境保全その他(メディア等)302010(億円)2502001501005002,72420172014(億円)1,000900800700600500400300200100020152016(図表12)宇宙産業の市場規模予測(日本)(兆円)40(図表14)衛星データ利活用ビジネスの32201620502044828201520162017衛星データ利活用サービスが導入された場合の潜在的な市場規模既存の活用領域(農業・地理・防災・気象等)における市場規模4423325212211292591022018平成25年研究開発強化法改正・JSTを含む3法人において、研究開発法人発ベンチャーに出資が可能に平成30年研究開発力強化法改正(化学技術・イノベー・出資可能な事業者の種類が拡大、以下の(1)に加え、新たション活性化に関する法律の成立)に(2)(3)への出資が可能に(1)研究開発法人発ベンチャー(2)研究開発法人発ベンチャーを支援するベンチャーキャピタル又はファンド(3)共同研究のマッチングやライセンスなど研究開発法人の成果活用を支援する法人・出資可能法人が3法人→22法人へ拡大令和2年化学技術・イノベーション活性化に関する法律・出資可能法人が22法人→27法人へ拡大✓NIED・JAXA・JAMSTEC・JAEA・NIESにおいて新たにの改正出資が可能に✓このうちJAXAについては上記(1)~(3)全て、それ以外の3法人については(1)への出資が可能に✓NIMS及び産総研において、(1)に加え、(3)についても出資が可能に分野岩石・鉱物の分類による鉱物資源探査、海表面の油徴(オイルスリック)による海底油田の探査、堆積盆における石油資源探査等農地の作付け分類、作物の収量や品質の推定、収穫適期の決定等樹種分類、森林成長モニタリング、森林の枯損検知、森林分野森林管理等大気汚染、水質汚染、土壌汚染等の環境汚染分布等環境分野土地利用分野水域・森林・草地・裸地・市街地・工場等の土地利海洋分野防災分野資源探査分野農業分野用(被覆)分類等海水面温度、海色等地震防災、火山防災等内容市場規模(日本)利用例ファイナンス 2022 Aug. 33日本の宇宙産業と宇宙ベンチャー衛星データ利活用の促進

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