ファイナンス 2022年7月号 No.680
75/90

ファイナンス 2022 Jul. 71 今年のゴールデンウィークは久しぶりに行動制限のない連休であったけれども、結局はコロナ再蔓延の恐れを理由に出不精を決め込んで、自宅でごろごろして過ごした。今朝はまあまあ早起きして、ヨーグルト、茹で卵、ハム、トマト、そして分厚くバターを塗ったトーストとコーヒーという平凡な朝食をしたためてからスーパーに買い出しに出かける。家に戻って買いこんだものを冷蔵庫に収納するのだが、その際に庫内の整理整頓もしないといけない。家の者が卵をパッケージから出さないまま突っ込んでいるのを、冷蔵庫内の卵ケースに並べ、無秩序に突っ込んである大量の納豆のパックを4個単位の包装を外して賞味期限順に積み上げて並べる。豆乳の1リットル容器の開栓されたものが二つあるのには舌打ちするしかない。冷蔵庫の整理が終わると、今度は家の者が開封しないまま放置している過去一ヶ月分ほどもあろうかという各種郵便物の整理だ。封筒を開け、捨てていいものを捨て、残りを各人ごとに分類して大きな封筒に分ける。大半はクレジットカードの利用明細や各種の請求書だが、中には年金関係の書類や運転免許の更新の案内なんかもある。やれやれ。午前中にゴルフの練習場にでも行こうかと思っていたのだが、郵便物の整理でいい加減疲れたので省略。今日の夕食は魚と鶏胸肉の粕漬けにするつもりなので、昼飯の前に粕床を用意して具を漬けこまないといけない。前回粕汁を紹介したが、このところ酒粕に凝っている。と言っても粕汁の季節が終われば、月に一度魚や肉を漬けるぐらいなので、本格的な粕床というわけにもいかず、一回限り使い捨ての粕床だ。水分多めのゆるゆるに作って少量の粕床に多めの具を漬ける。かなりいい加減な粕漬けであるが、これでも結構うまい。1袋数百円の冷凍のカラスガレイやら鶏の胸肉やらが予想外においしくなる。といってもそれだけでは晩飯の菜にはちょっと寂しいので、あと一品、何か考えよう。粕床の作業が終わったら、昼飯だ。面倒になったので市販の焼きそばにした。豚小間を片面だけかりっと焼いて、キャベツ、もやし、ねぎと炒める。麺を蒸し焼きにしてソース味をつけ、紅しょうがを和えれば結構うまい。家内の分も含めて3玉作ったのだが、家内が食べないというので結局一人で全部食べたら、さすがに満腹である。食べ過ぎた。しばらく昼寝しよう。小一時間して目が覚めたらそのままベッドで本を読む。例によって図書館から山のように本を借りてきたのだが、読了したのは2冊だけだ。いずれも戦前の我が国の対外関係に関するものである。連日のロシアのウクライナ侵攻をめぐる報道に触発されたようだ。1930年代の戦間期、日本の経済外交は自由主義貿易を維持すべく苦戦した。こう述べると、違和感を持たれる方も多いと思う。通説では、世界恐慌下、英米の「持てる国」に対して「持たざる国」日本は、ブロック経済体制によって挑戦し、その結果が太平洋戦争とされている。しかし、「戦前日本の『グローバリズム』」(井上寿一著、新潮選書)によれば、この通説的理解は正確でない。1930年代の日本は、通商自由の原則を掲げて経済外交を展開していた。日本は経済ブロック間の対立を引き起こしたのではなく、自由主義貿易政策の成功、すなわち金本位制からの離脱に伴う円安下での輸出拡大が経済摩擦を招いたのであった。円安下の輸出ドライブを一因として日本は不況から回復したが、不況にあえぐ欧米各国並びにその植民地は、日本製品の急速な流入に強く反発した。しかし当時の日本の経済外交は、米、英、加、豪、蘭印などその50新々5月△日日曜日私の週末料理日記

元のページ  ../index.html#75

このブックを見る