ファイナンス 2022年7月号 No.680
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48.86.810.4- 1000人当たりの((GP/FP)が 占める割合)日本4.39(16.35%)ドイツ2.95(25.97%)英国3.17(44.3%)フランス2.74(47.49%)カナダ2.46(27.3%)韓国2.64(11.64%)米国オランダ3.72(46.23%)オーストラリア3.83(44.52%)イタリア出典:OECD Health DataGP(general practitioners)FP(family physicians)※国によって最新データの年数が異なる ※日本の在院日数は厚生労働省「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」を参照4(21.4%)*9) ■西・井伊論文の要約を参照。医師数 1000人当たりの看護師数2.49(-)11.7613.958.2-9.987.9410.6912.226.071000人当たりの在院日数急性期病床数16.08.96.68.88.217.94.84.45.287.86-327.12.52.6-2.6受診率 (1年間の 外来の回数)CT/100万人MRI/100万人12.59.855.96.617.2111.4935.339.4618.1714.6139.6342.4314.8769.7436.4655.2134.477.2315.3810.0632.0334.5413.8414.7930.22ファイナンス 2022 Jul. 65表1 医療提供体制の国際比較PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 94. 医療関係者・行政担当者・利用者に求められる気づきと行動網谷:ここまで課題の部分についてお伺いしておりましたが、日本の医療制度の下で、「過剰」や「過少」の発生を抑えることができていると考えられる点はありますか。井伊:日本でも、海外のエビデンスも学び、それを参考にしながら診療している医師はいますが、残念ながら現時点で過剰・過少の発生を抑える制度にはなっていません。出来高払いのため、検査すれば収入が増えるとなれば、必要がなくてもとりあえず検査をするといった過剰医療が発生してしまいます。また、日本の診療所は公衆衛生的な役割を担っていないので、受診に来た人しか診ないということで過少医療も発生しています。完璧な医療体制はありませんが、GP制度がある国では、登録している住民に適切にリーチしないと診療所への報酬が減額される仕組みになっています。日本ではどの医療機関に行くかが患者の自由なので、責任の所在がはっきりしていません。今後移民や貧困者といったリスクの高い人が増えてきたときに、現状のように医療者側からリーチする仕組みがないと適切に医療を届けるのは難しいのではないでしょうか。古村:フリーアクセスなのに医療にアクセスしない人の問題はデータでも把握しにくいですよね。井伊:今回のワクチン接種は、普段医療にアクセスしない人にリーチする良いきっかけのはずなのにうまく活用されていませんよね。それは電子化をしたからといってできるわけではなく、本来はかかりつけ医が保健所の役割を担う必要があります(図1,2)。網谷:本特集号で、「適正医療を多く実現するためには、保健医療サービス提供者、利用者、行政担当者などの気づきと行動が必須」*9とされていますが、それぞれの立場に求められる気づきと行動とはどのようなものでしょうか。まず、医療関係者の立場からについてですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、医療の■迫や医師等の医療従事者の不足も指摘される一方、病院経営が悪化したり、診療所が倒産したりといったニュースを目にします。新型コロナウイルスの感染拡大によって浮き彫りになった日本の医療の課題と、医療関係者が今後取り組むべきことは何だと思われますか。井伊:問題点として、人口当たりの病院数や病床数が多く、病床当たりの医師看護師が少ないという低密度な医療提供体制、また、医療機関の機能分化ができてお

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