ファイナンス 2022年7月号 No.680
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[7]. 服部孝洋(2022)「金利先物およびTIBOR入門―ユーロ円金[12]. 吉藤茂(2020)「図説 金融規制の潮流と銀行ERM―続・金[4]. 服部孝洋(2021a)「グリッド・ポイント・センシティビティ入門―日本国債およびバリュー・アット・リスクの観点で―」『ファイナンス』3月号、80–88.[18]. Menkveld, A. and Vuillemey, G,(2021)“The Economics of Central Clearing” Annual Review of Financial Economics 13, 153–178.[5]. 服部孝洋(2021b)「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)入門―バーゼル規制からみた金利リスクと日本国債について―」『ファイナンス』6月号、60–69.[6]. 服部孝洋(2021c)「金利指標改革入門―店頭(OTC)市場とLIBOR不正操作問題について―」『ファイナンス』11月号、10–19.*33) 鈴木(2012)では、改正前では「CCP 向けエクスポージャーについては、現行規制上、一般的に(当該エクスポージャーが日々の値洗いにより担保でカバーされている場合に限り、)エクスポージャー額を「ゼロ」とする取扱いが認められて」(p.3)いたとしています。*34) 告示 第二百七十条の二。*35) バーゼル規制における信用リスクに関する各モデルについては吉藤(2020)のBOX 12が簡潔に整理しています。参考文献[1]. 鈴木利光(2012)「CCP向けエクスポージャーの資本賦課【金融庁告示改正】バーゼルIIIの「ラスト・ピース」が法制化へ」大和総研[2]. 富安弘毅(2014)「カウンターパーティリスクマネジメント(第2版)」きんざい[3]. 服部孝洋(2020)「金利スワップ入門―基礎編―」『ファイナンス』8月号、56–65.ジャーについて、信用リスク・アセットを算出することが求められるようになりました*33(このように信用リスク・アセットが算出されるようになると、それに対して自己資本で一定程度調達する必要が生まれます。金融機関が有するリスクをリスク・アセットとして考慮すること(第一の柱の中で取り扱うこと)を「資本賦課」といいます)。具体的には、実際に取引することに係るエクスポージャー(トレード・エクスポージャー)に加え、中央清算機関に預託済みの清算基金に係るエクスポージャー(他の参加者が破綻して拠出済みの清算基金が費消されるエクスポージャー)について、一定の計算式で信用リスク・アセットに加えるよう制度変更がなされています。どのように算出するかに当たっては、相手となる中央清算機関が適格であるか、直接清算参加者あるいは間接清算参加者であるかなどに依存する仕様になっています(具体的な計算方法に関心がある読者は実務家が記載したバーゼル規制の書籍などをご参照ください)。バーゼル規制では、デリバティブそのものについて「派生商品取引・オフバランス取引等の信用リスク・アセット」を算出する必要があり、デリバティブのカウンターパーティ・リスクであるCVAリスクについても信用リスク・アセットとして計上されるよう要請されています。しかし、中央清算機関を相手とするものについてはCVAリスクを計測する必要はないとされています*34。バーゼル規制では、中央清算機関向けのエクスポージャーの方が、リスク・アセットが小さくなるようルールが作られており、リスク・アセットの算出という観点でも、中央清算機関で清算するようインセンティブが与えられていると解釈できます。なお、本稿ではカウンターパーティ・リスクを考えるうえで、証拠金の重要性を強調しましたが、バーゼルIIIでは、「派生商品取引・オフバランス取引等の信用リスク・アセット」を測定するためのアプローチについても、証拠金の効果を適切に評価できるよう改定されています。この点については本稿では詳細について言及しませんが、今後の論文で議論をする予定です*35。ファイナンス 2022 Jul. 31店頭(OTC)デリバティブ規制入門 利先物を中心に―」『ファイナンス』1月号、41–51.[8]. 羽渕貴秀(2018)「OTCデリバティブ規制改革とFMI原則―清算集中義務・マージン規制からCCPの再建・破綻処理まで」きんざい[9]. 福本葵(2014)「店頭デリバティブの清算機関・取引情報蓄積機関・電子取引基盤」『証券経済研究』第85号、37–51.[10]. 三菱東京UFJ銀行(2014)「デリバティブ取引のすべて〜変貌する市場への対応〜」きんざい[11]. 宮内惇至(2015)「金融危機とバーゼル規制の経済学」勁草書房融工学とリスクマネジメント」きんざい[13]. 望月一成・大井秀敏・藤丸峻介(2020)「電子取引基盤の使用義務に関する日米間の相互依拠枠組み 店頭デリバティブ市場の分断回避に向けて」『金融財政事情』(2020年6月22日号)[14]. ジョン・アーマー, ダン・オーレイ, ポール・デイヴィス, ルカ・エンリケス, ジェフリー・ゴードン, コリン・メイヤー, ジェニファー・ペイン(2020)「金融規制の原則」きんざい[15]. ジョン・グレゴリー(2018)「xVAチャレンジ―デリバティブ評価調整の実際」きんざい[16]. ジョン・ハル(2016)「フィナンシャルエンジニアリング〔第9版〕―デリバティブ取引とリスク管理の総体系」きんざい[17]. レオ・メラメド(2010)「先物市場から未来を読む」日本経済新聞出版社5おわりに本稿ではOTCデリバティブ規制の全体像や中央清算機関の役割について説明しました。その他の文献を参照したい読者は富安(2014)や宮内(2015)、羽渕(2018)などを参照してください。次回は証拠金規制の概要に加え、証拠金の算出のために用いられるSIMM(ISDA Standard Initial Margin Model)について解説します。*33*34*35

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