ファイナンス 2022年7月号 No.680
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ファイナンス 2022 Jul. 9■製造業者等の推移4.5(昭和45)4,434場/4,107者4.0(令和2)3,574場/3,243者3.53.02.52.0昭4555平元1022注:各酒類を通じたものを掲げた。出典:国税庁課税部酒税課「酒のしおり」(令和4年3月)■卸売業者数等の推移14.012.010.08.06.04.02.00.0(昭和50)13,738場/12,583者(昭和45)1,965場/1,163者55272令元(年度)平元昭45注:販売できる酒類の範囲が全酒類のものを掲げた。(令和2)4,940場/1,837者1022272令元(年度)■小売業者数等の推移200.0180.0160.0140.0120.0100.080.060.040.020.00.0(昭和45)122,291場114,915者(平成19)179,624場134,892者昭4555平元1022注:販売できる酒類の範囲が全酒類のものを掲げた。免許場数免許者数(令和2)166,858場94,287者272令元(年度)酒類業界の状況 1 商品の差別化・高付加価値化等酒類の国内需要が長期的に減少傾向にある中で、これまでの取組を継続するだけでは、今後の需要の回復・拡大が見込めない。従来型の商品の開発・製造・販売等の方法にとらわれず、新たな商品・サービスの創造、新たな市場の開拓に取り組むことが酒類業者に求められている。近年は異業種やスタートアップ等による新規参入や、清酒の出荷金額の単価上昇(高付加価値化)の動き等も確認されており、こうした動きを酒類業界全体に広げていく必要がある。2 海外市場の開拓(輸出促進)現在、酒類市場は世界全体で100兆円を超えるとされているが、日本産酒類の輸出額は、世界の酒類市場の0.1%にも満たない規模にとどまっている。海外の流通市場では、地場の流通大手が圧倒的な市場シェアを占めるケースもあり、これら流通大手との取引を実施・継続することが販路拡大において重要となる。そのためには、商品の品質の高さに加え、海外における認知度の高さ(「商品を陳列すれば売れる」こと)が求められる。しかし、現状では、日本産酒類の海外における認知度は、一部の銘柄を除きまだまだ低い。認知度の向こうした状況の中、関係法令等のコンプライアンスの確保はもちろんのこと、酒類市場や需要の拡大、酒類業の健全な発達に向けた、酒類産業振興への取組、特に海外市場への輸出は伸びしろが大きいことから、国税庁では輸出促進を中心とした振興策の強化がこれまで以上に重要だと考えている。そこで、次の5つの課題に取り組む必要があると考えている。上に取り組むとともに、商品の選定・開発やその提供方法についても、現地の消費者の嗜好やニーズをより一層踏まえていく(マーケットインの発想)必要がある。3 技術の活用と人材の確保等酒類業従事者の高年齢化や、なり手不足が進む中、特に酒類製造業者においては、杜氏等の専門家が有する技術やノウハウの継承が課題となっている。生産体制の見直しなどを通じて、人材の確保・育成や働きやすい環境の整備、事業承継等の課題に取り組む必要がある。加えて、醸造技術をはじめとする日本酒等の文化的価値の保存に努めることにより、日本の伝統的な酒造りの技術を円滑に継承することや更なる開発・活用を進める必要がある。4 中小企業支援酒類事業者は、中小企業が多いものの、歴史的・文化的に地域社会とのつながりが深く、地域の中核的な存在として地域経済やコミュニティの活性化等で重要な役割を果たしている。また、酒類及び酒類事業者は、経済・観光資源として地方創生の観点から有望なコンテンツといえる。酒類業界の活性化は、地域社会全体の活性化・構造改革につながる可能性がある。5 コンプライアンスの確保等酒類は酒税が課される財政上重要な物品であるとともに、致酔性や習慣性を有する等、社会的に配慮を要する物品である。この特殊性に鑑み、その製造・販売には免許制を採用している。また、公正な取引環境の整備、20歳未満の者の飲酒防止、アルコール健康障害対策等について、引き続き関係法令のコンプライアンスの確保等に努めていく必要がある。酒類業界の抱える5つの課題

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