ファイナンス 2022年6月号 No.679
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8 財務総合政策研究所 総務研究部 国際交流課 研究官 中島 賢作/ 同 上席研究員 金井 優洋/同 研究員 横山 日向子/同 係員 岩嵜 智亮*1) 2000年7月、財務総合政策研究所に機構改正。*2) 第一・二回は、JICA(国際協力事業団)との共催。ファイナンス 2022 Jun. 79国際交流課(室)30周年  −これまでの歩み本年(2022年)7月、国際交流課(室)が発足して30周年を迎えます。1992年7月、財務総合政策研究所の前身である財政金融研究所内*1に国際交流室が発足し、2015年5月の機構改正により国際交流課と名称変更され、現在に至ります。その間、アジア各国に対する知的支援や、海外研究機関との研究交流を通じて、アジア各国の関係者との国際交流を行ってきました。発足当初、米国に次ぐ経済大国となった日本について、アジア各国から、その成長過程・要因等を学び、自国の経済成長につなげたいとの要望が多くありました。その要望に応えるべく、アジアを中心とした途上国の財務省等の若手幹部候補生を約3カ月間日本に受け入れ、わが国の財政・経済制度に関する知識・経験の提供による人材育成支援や、国際的な人的ネットワークの形成等を目的とした「財政金融長期セミナー」を1992年に開始しました*2。その後、本セミナーは対象国の拡大や研修期間の変更等を経て、現在は「財政経済セミナー」として継続しています。加えて、アジア各国の財務省・中央銀行職員や研究所の研究者等を、研究員として受け入れ、研究を支援するとともに、受け入れた研究員が所属する組織等との情報交換や交流を深めてきました。研究員として受け入れた方々とは、その後も折に触れて意見交換等を行っています。その方々が後に各国政府や研究所等で我々のカウンターパートとなって共に働くことになることもあり、そうしたことも国際交流業務の醍醐味の1つです。また、個別国への取組みとして、中国については、1992年以降、社会主義市場経済体制の確立を目指して大きく改革開放へと舵を切ろうとしていく中、中国の政治経済情勢について調査研究することを目的として、1993年度に「中国研究会」を立ち上げました。同研究会の活動については、國分良成座長へのインタビュー(別掲)をご覧いただければと思いますが、研究会で交わされた議論を踏まえながら、中国の政府系シンクタンクとの対話・交流も行っています。2000年代(発足後約10年)には、中小企業等の育成を目的とする政府系金融機関を設立した東南アジアの国々に焦点を当て、まずベトナム社会政策銀行(VBSP)に対する中小企業金融への知的支援を、日本政策金融公庫と連携して開始しました。これまで、マレーシア中小企業銀行、ラオス開発銀行、ミャンマー経済銀行に対しても同様の知的支援を実施しており、その後の意見交換会等によるフォローアップを通じて、関係者との交流維持や現状把握を行ってきています。2010年代(発足後約20年)には、インドが積極的なFTAの締結など対外的な開放政策を進め、更なる国際交流課(室)30周年-これまでの歩み財務総合政策研究所 国際交流課長 中川 健太郎中国研究会の取組み都市経済ワークショップの開催財務総合政策研究所 主任研究官 曽我 奈津子/同研究所 研究員 玄馬 宏祐

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