ファイナンス 2022年6月号 No.679
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p×1.5%+(1-p)×1%=1.4%*15) 詳細な説明は下記をご覧ください。 https://www.cmegroup.com/education/demos-and-tutorials/fed-funds-futures-probability-tree-calculator.html図表6 FF金利先物とFOMCの関係金利FFレートは1%で推移月初FF金利先物は「1か月の平均」を予約している点に注意FOMCFOMCのタイミングで利上げ利上げがなされたらFFレートは1.25%で推移利上げがなければFFレートは1%で推移月末時間 46 ファイナンス 2022 Jun.3.2 利上げ確率の計算の実際利がその期待値になるとしています。これはp=0.20%/0.25%=80%という形で解くことができ、この値が市場参加者が予測している利上げ確率と解釈することができます。ここでは、1回の利上げ(利下げ)が通常0.25%であるため、1%から1.25%へ上昇するという例にしましたが、実際には、0.5%動くという想定もありえます。先ほどの例を少し修正し、例えば、FF金利先物から得られる予約金利が1.2%でなく、1.4%である場合を考えてみましょう。これを先ほどのように計算すると、p=0.4%/0.25%となり、100%を超えてしまいます。これは利上げを100%以上読み込んでいると解釈するより、投資家は利上げ幅を0.25%でなく、それ以上であると見込んでいると解釈したほうが現実的でしょう。そこで、FRBが0.5%金利を上げることを想定し、先ほどと同様のロジックで計算すると、という式が成立します。この場合、p=0.4%/0.5%=80%と計算できますから、FRBが0.5%金利を上昇させる確率は80%と計算できます。このように利上げ確率の考え方はシンプルなものですが、実際の利上げ確率の計算が少しややこしくなる理由は、(1)FF金利先物があくまで月中のFFレートの「平均」を予約しているという点に加え、(2)政策金利の変更を行うFOMCが月末とは限らず、月中に行われる可能性があるためです。この関係を示した図が図表6です。この図からわかる通り、月初から月末の途中にFOMCがあり、そこでFRBは利上げをするかの判断を行います。ここでは先ほどと同じ数値例を用いていますが、現在のFFレートが1%であると、FOMCまでは1%で推移します。そして、仮に利上げがなされたらFOMC以降、FFレートは1.25%で推移します(利上げがなされなければ1%で推移します)。注意すべきは、FF金利先物で予約する金利(先ほどの例でいえば1.2%)はこの間の平均金利であり、この図では真ん中の線(太い線)になる点です。そのため、前述のような単純な期待値の計算でなく、FOMCが期中にあることの調整が必要になるわけです。ここからFedウォッチで活用される事例を参照しながら、実際の利上げ確率の計算について考えていきます*15。FedウォッチとはCMEがFFレートに立脚して利上げ確率を計算するツールですが、その考え方はここまで説明したものと同じです(Fedウォッチの使い方はCMEの資料等を参照してください)。ここでは2015年9月の事例を考えます。具体的には、2015年9月17日にFOMCがあり、この日に0.25%の利上げが起こる可能性があるとしましょう。2015年9月の頭の時点でのFFレートは0.1325%であり、FOMCまではこの金利で推移するとします。ただし、もし仮にFOMCで利上げがなされたら、FFレートは0.25%上昇

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