ファイナンス 2022年6月号 No.679
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3利上げ(利下げ)確率3.1 利上げ(利下げ)確率の考え方*11) 先物を購入した場合、現物の受渡や反対売買で決済がなされます。そのため、先物を新たに売買することは未だ決済がなされていない契約総数を変化させることになります。建玉は「未決済契約の総数」と説明されるためややこしいですが、その時点における先物の契約総数と理解しておけば問題ありません。*12) 金利先物における配色コードについては服部(2022a)を参照ください。FFレート2022年3月限2022年4月限2022年5月限2022年6月限2022年7月限2022年8月限2022年9月限2022年10月限2022年11月限2022年12月限2023年1月限2023年2月限2023年3月限2023年4月限2023年5月限2023年6月限2023年7月限2023年8月限2023年9月限2023年10月限2023年11月限2023年12月限2024年1月限2024年2月限2024年3月限(出所)Bloomberg名称ティッカーFEDL01 IndexFFH2 ComdtyFFJ2 ComdtyFFK2 ComdtyFFM2 ComdtyFFN2 ComdtyFFQ2 ComdtyFFU2 ComdtyFFV2 ComdtyFFX2 ComdtyFFZ2 ComdtyFFF3 ComdtyFFG3 ComdtyFFH3 ComdtyFFJ3 ComdtyFFK3 ComdtyFFM3 ComdtyFFN3 ComdtyFFQ3 ComdtyFFU3 ComdtyFFV3 ComdtyFFX3 ComdtyFFZ3 ComdtyFFF4 ComdtyFFG4 ComdtyFFH4 Comdty価格 (IMM指数)(100-金利)0.0899.79599.66599.37599.19599.04598.8898.82598.6998.54598.43598.36598.2798.298.1398.0898.0497.99597.9698.0698.05598.0798.0498.0698.0798.07先物金利 建玉0.2050.3350.6250.8050.9551.121.1751.311.4551.5651.6351.731.81.871.921.962.0052.041.941.9451.931.961.941.931.9315170448971628479275516184954207535361171266031202414763513673847644691117354116973581366621051379212581131410図表4 FF金利先物の例(2022年3月の一時点から抜粋) 44 ファイナンス 2022 Jun.FF金利先物の各限月の価格、ティッカー、建玉*11を示しています。この図をみるとFF金利先物の場合、向こう2年程度取引があることがわかります。ちなみに、BloombergでFFA Comdty CTと叩くと、現時点における価格や建玉等について、配色コード*12も付した一覧を見ることができます。ここでは2022年3月限から向こう2年の限月について表示をしていますが、FF金利先物の場合、1年を超えると流動性が低下していきます。図表4をみても、特に1年半後や2年先になると建玉は小さく、ほとんど取引がなされていないことがわかります。そのため、実務家はさらに先の短期金利を予測するうえではユーロドル金利先物やオーバナイト・インデックス・スワップ(Overnight Index Swap, OIS)を使うことも少なくありません(この点は後述します)。図表4の値を視覚的に確認するため、横に時間、縦に各限月のFF金利先物の予約金利(100-先物価格)をとったグラフが図表5です。ここでの予約金利は前述のとおり、1か月の平均金利になっているため、各月にジャンプするという動きをしていますが、このように図として表現することで、どのようにFFレートが動くとマーケットで予測されているかについて目で見てとることができます。図表5からFF金利先物から示唆される予約金利が上昇していくことが確認できますから、市場参加者はFFレートが上昇していく(つまりFRBが利上げをしていく)と予想していると解釈できます(この図では黒い縦のラインで、FOMCのタイミングを明示している点に注意してください)。なお、ここでは右肩上がりの事例を紹介していますが、その時点時点で形状が違う点に注意が必要です。右下がり図の場合、利下げの予測がなされており、フラットの場合、政策金利を変化させないという予想がなされていると解釈できます。ここまでFF金利先物について説明してきましたが、ここからは利上げ(利下げ)確率について具体的に考えていきます。FF金利先物はFFレートの変動のヘッジに使われますが、FFレートが政策金利であることから中央銀

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