ファイナンス 2022年6月号 No.679
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*9) 本稿は直近のCMEのサイトや一次資料に基づいて記載しています。現時点(2022年6月)でCMEのウェブサイトには日本語の解説資料が見られまFF金利先物では金利リスク量(DV01)が固定されている点が特徴*7) 以前は向こう3年(36限月)の先物が上場していましたが、2020年9月に向こう5年に制度変更をしています。 *8) 詳細は下記を参照してください(本文での情報は執筆時時点の内容です。CMEの金利先物は商品性が変わりえるので、正確な情報を得るためには必ず出所:CME資料より筆者作成30日フェデラル・ファンド先物商品名取引開始取引単位上場限月価格の表示100から限月について日次のフェドファンドの実効金利の平均値を差し引いた数値(例:7.25%金利は92.75に等しい)方法最終取引日最終決済 方法https://www.cmegroup.com/content/dam/cmegroup/notices/ser/2020/07/SER-8630.pdf英語のCMEのサイトをみるようにしてください)。https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/stirs/30-day-federal-fund.contractSpecs.htmlすが、その内容は一部古くなっています。FF金利先物の商品性を確かめる際は必ず英語の公式資料を確認してください。1988年10月4,167ドル×IMM指数最初の60暦月限月の最終営業日差金決済9月限はこの間のFFレートの1か月平均10月1日10月限はこの間のFFレートの1か月平均11月1日11月限はこの間のFFレートの1か月日平均12月1日図表1 FF金利先物で予約する金利のイメージ9月1日図表2 フェデラル・ファンド金利先物の商品概要*8 42 ファイナンス 2022 Jun.2.3 FF金利先物が有するその他の商品性ています。もっとも、SOFR先物(3か月物)については後決め複利になっている点に注意してください(SOFR先物は必要に応じて今後の論文で説明しますが、SOFRそのものについては筆者が記載した「SOFR入門」(服部 2022b)をご覧ください)。図表2にFF金利先物の商品性がまとめられています。価格の表示方法は「100-FFレート」という形で定義されていますが、これは前述のIMM指数です。限月が1か月毎に設定されているため、例えば、2022年3月限、2022年4月限といった形で1か月刻みで上場しています(ユーロ円先物やユーロドル金利先物は3か月毎になります)。現在は向こう5年の先物が上場しているため、合計60*7の先物が同時に上場しています。決済は他の金利先物と同様、差金決済(現金決済)です。*8前述のとおり、最終決済の価格は月中平均で計算されます。ニューヨーク連銀が公表するFFレートを用い、その実際の日数で平均化し、四捨五入をしたうえで、IMM指数の定義である「100-金利」を用いることで決済に用いる価格を計算します。図表3に実際の計算例が記載されていますが、1か月の日数は29日の時もあれば、31日の時もありますが、(繰り返すようですが)実際の日数で平均化している点に注意してください。FF金利先物の商品性について注意すべき点は、取引単位が「4,167ドル×IMM指数」とされている点です*9。これは1%金利が動いた場合、4,167ドル損益が発生するという仕様であり、いわば金利リスク量(DV01)を固定しているとみることができます。DV01そのものについては筆者が記載した「金利リスク入門」で丁寧に説明しているため具体的にはそちらを参照してほしいのですが、DV01とは、1bps変化した場合の価格の変化でした。FF金利先物において金利が1bps動いた場合、41.67ドル価格が動くため、FF金利先物のDV01は41.67ドルになります。ちなみに、DV01が41.67ドルであることは、仮にある月の日数が30日である場合、FF金利先物の想定元本が500万ドルであることを意味します。なぜなら、金利が1bps変化した場合、支払金利の変化は、$5,000,000×という形で計算できるからです。FF金利先物の正式名称は前述のとおり「30 Day Federal Funds Futures」になりますが、30日の場合、(仮想的な)想定元本がきれいに500万ドルになるという特徴を有しているといえます。0.0001×30=$41.67360

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