ファイナンス 2022年6月号 No.679
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4世界銀行・IMF合同開発委員会(DC) (2022年4月22日)世界銀行・IMF合同開発委員会(注)においては、ロシアのウクライナに対する侵略戦争のウクライナ及びウクライナの周辺国を含む開発途上国への影響、デジタル化と開発、開発とマクロ経済の安定のための債務問題の取組等について議論が行われ、議長声明が発出された。議長声明においては、IMFC同様、国連のロシアに対する非難決議を想起するとともに、エネルギーや食糧及びその他のコモディティの価格上昇を通じた世界の途上国への影響についての懸念を表明した。そして、世界銀行グループが、各国が緊急の食糧安全保障及び社会的保護のニーズに対処することを支援するために、資金提供、政策及び分析支援を拡大することを求めた。(注)開発を巡る諸問題について、世界銀行・IMFに勧告及び報告を行うことを目的として1974年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第105回目。IMF・世界銀行春会合およびG7、G20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要 26 ファイナンス 2022 Jun.日本から発出したステートメントにおいては、ロシアのウクライナ侵略を厳しく非難するとともに、世界銀行グループがロシア及びベラルーシでのプログラムを迅速に停止したことを評価した上で、世界銀行のウクライナ支援への日本の協調融資の増額を改めて表明した。また、持続可能で包摂的な成長を実現するために必要な点として、まず(1)新型コロナウイルス感染症のパンデミックの収束と国際保健システムの強化を図るとともに、(2)気候変動への対応及び(3)デジタル化の推進が不可欠であり、そのうえで、こうした取組を持続可能な形で支えるため、(4)質の高いインフラ投資の推進を通じて成長の土台を構築しつつ、(5)パンデミックの中で一層悪化した債務の脆弱性に対処する必要があることを指摘した。これら分野において世界銀行グループに期待する点を述べるとともに、日本として、信託基金への拠出等を通じて貢献・協力していくことを表明した。

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