ファイナンス 2022年6月号 No.679
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2G7財務大臣・中央銀行総裁会議 (2022年4月20日)G7については、2022年1月に議長がイギリスからドイツに交代し、独議長下で初めてとなる対面形式での会議を行った。 に応じて分配されるため、低所得国に配分されるのは全体の約3%に留まる。これを受け、先進国等に配分されたSDRの一部を支援の必要な低所得国等に自発的に融通(チャネリング)する議論が行われている。ファイナンス 2022 Jun. 25IMF・世界銀行春会合およびG7、G20財務大臣・中央銀行総裁会議等の概要今回のG7においては、ウクライナのマルチェンコ財務大臣の参加を得て、ロシアのウクライナに対する侵略戦争や、戦争の世界経済への影響、ウクライナ支援に関する議論が行われ、会議後に共同声明が発出された。以下、発出された共同声明の概要について紹介したい。まず、G7として、ロシアのウクライナに対するいわれのない不当な侵略戦争を強く非難した。また、国際機関や多国間フォーラムは、もはやこれまで通りにロシアとの間で活動を行うべきではないとした上で、直前に開かれていたG20や、IMF、世銀の会議を含む国際フォーラムへのロシアの参加は遺憾であると表明した。同時に、ウクライナ国民及び同国政府に対する揺るぎない支援と心からの連帯を表明した。2022年以降で、240億米ドルを超える相当の追加的支援を提供・プレッジしており、必要に応じて更なる対応を取る準備ができていると表明した。また、ロシアのウクライナに対する侵略戦争によって生じた経済的課題に対処することに引き続きコミットすることを表明した。戦争によって高まる代償を負わねばならない世界中の全ての国々と連帯するとともに、自ら作り出したものではない危機で苦しむ脆弱国の利益のために、全ての利用可能な手段を用いることを支持した。ロシアに対する制裁に関しては、進行している事態の激化に対応し、ロシアに対してこの戦争の代償を更に高めるため、世界中のパートナーと緊密に協調した行動をとり続けると表明した。プーチン大統領やその支援者は、戦争の社会的、経済的結果に対する全ての責任を負っていることを指摘するとともに、G7による制裁は第三国及び世界経済への損害を最小限にするため、的を絞った方法で設計されていることを確認した。また、制裁の回避、迂回あるいは穴埋めの試みを阻止するためにパートナーと引き続き緊密に連携して取り組むことを確認した。日本から発出したステートメントでも、ロシアの侵略行為を厳しく非難した。同時に、現下の困難を乗り切るために、法と信頼に基づく多国間協調が一層重要であり、IMFが引き続き国際通貨金融システムの安定に中心的な役割を果たすとともに、最後の貸し手として触媒機能を果たすことを期待すると述べた。また途上国支援の強化について、現下の課題と併せて、気候変動やデジタル化への対応等の中長期的な構造課題にも、早急に対応する必要がある旨指摘し、複合的な困難に直面する途上国に対してIMFが支援を強化することを支持した。こうした観点から、既述の通り、日本としてもSDR新規配分額の20%のチャネリングをプレッジすること等を表明した。また中央銀行デジタル通貨(CBDC)やその他のデジタルマネーについて、IMFがコア・マンデートとして取り組むことを強く支持するとともに、日本管理勘定(JSA)にデジタルマネーウィンドウを創設し、1,500万米ドルを新たに貢献したことを表明した。3国際通貨金融委員会(IMFC) (2022年4月21日)国際通貨金融委員会(注)においては、ロシアのウクライナに対する侵略戦争によって世界経済が直面する多くの困難や、その中でIMFが果たすべき役割について議論が行われ、議長声明が発出された。議長声明においては、国連のロシアに対する非難決議を想起するとともに、ウクライナに対するロシアの戦争が甚大な人道的影響をもたらし、世界経済に有害な影響を及ぼすことを認識するとされた。こうした中で、IMFは、エネルギー価格上昇や食料不安等で特に影響を受けている国を始め、国際収支ニーズを抱える加盟国に資金支援を提供する重要な役割を有することが確認された。(注)国際通貨・金融システムに関する問題についてIMF総務会に助言及び報告することを目的として1999年に設立。以降、春・秋の年2回開催。今回は第45回目。

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