ファイナンス 2022年6月号 No.679
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(図1)日本国債IRにおける面談先の地域・業種分布面談先の地域分布面談先の地域分布中南米オセアニア中南米2%5%オセアニア中東5%6%中東6%北米25%北米25%2%アジア31%欧州31%アジア31%欧州31%SWFSWF5%5%年金年金7%7%生保生保4%4%その他その他12%12%銀行銀行11%11%ヘッジファンドヘッジファンド13%13%30%30%アセマネアセマネ中央銀行中央銀行18%18%国債企画課・海外投資家係 大野 聖広/松山 泰大/栗田 大地 10 ファイナンス 2022 Jun.海外投資家の投資動向海外投資家の投資目的別分類日本国債IRについて現在、日本は多額の国債残高を抱えており、国債の安定消化・安定保有の観点から、幅広い投資家層による国債保有を促進することが重要な課題となっています。また、多様な投資家が様々な投資ニーズに基づき国債を保有することは、市場の状況が変化した場合にも取引が一方向に流れることを防ぎ、市場を安定させる効果もあると考えられます。こうしたことから、財務省では、銀行や生命保険会社等の国内機関投資家のみならず、海外投資家へのアプローチも重要なテーマと捉え、海外投資家の国債保有促進に向けた取組みを進めてきました。平成17年(2005年)の開始以降、これまで累計43か国・地域、延べ320都市を訪問しました(令和2年3月末までの訪問数。以後、令和4年4月まで新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため現地訪問せず、オンラインベースのIR面談を実施(延べ109件、本記事末尾にコラム有り))。日本国債IR活動はこれまでも本誌で紹介され、直近は令和元年7月号で特集されました。それから3年程経過しました。この間に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大(令和2年度~)、日本銀行による「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」(令和3年3月)、米国FOMCによる量的緩和の縮小(テーパリング)の決定(令和3年11月)や政策金利の引き上げ(令和4年3月)、ロシアによるウクライナ侵攻(令和4年2月~)など日本国債市場に影響を与える出来事が起きています。そこで、今回は、令和2年度以降(令和2年4月~)の日本国債IRの面談から得られた率直な意見・情報を基に、足もとの海外投資家の投資動向、海外投資家が日本をどのように見ているのかについてご紹介します。ひとくちに海外投資家といっても、中央銀行等(外貨準備の運用)、国際金融機関、年金基金、生命保険会社、資産運用会社などのリアルマネー投資家と言われる機関投資家のほか、ヘッジファンド等、様々な海外投資家が存在します。これまでの日本国債IRを通じて延べ2,000件以上の海外投資家との面談を実施(図1)しました。海外投資家と聞くと、国債の短期売買を繰り返して収益を追求するイメージを持つかもしれませんが、実際はそれだけではなく、日本国債へ面談先の業種別分布面談先の業種別分布日本国債IRの活動を通じて~海外投資家から見た日本~

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