ファイナンス 2022年6月号 No.679
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鹿島市 総務部 地方創生担当理事松林 聡ファイナンス 2022 Jun. 97有明海(干潟)鹿島ガタリンピックまた、肥前鹿島干潟は東アジアにおけるシギ・チドリ類の重要な渡り鳥の中継地、および越冬地であり、国際的にも重要な湿地として2015年にラムサール条約湿地として登録がされました。その登録を受け、2016年に産官学の市内各団体で組織される「鹿島市ラムサール条約推進協議会」を立ち上げ、環境省の地域循環共生圏プラットフォーム構築事業に採択されるなど、有明海の環境保全・再生に向けた活動を行っています。そうした中で、人口減少、少子高齢化が進むとともに、新型コロナウイルス感染症の影響での交流人口の減少や毎年起きる豪雨災害など、持続可能な自治体の実現に向けたさらなる飛躍が求められる状況にあります。1.鹿島市の概要鹿島市は、佐賀県の西南部に位置し、東には有明海が広がり、西は多良岳山系に囲まれ、森里川海干潟が一体となった自然環境に恵まれたところです。人口27,915人(令和2年国勢調査)を有する本市は、海苔や温州みかんの生産などが盛んであるほか、高い技術力を持ったものづくりの中小企業が数多く存在し、伝統工芸品には織物の鹿島錦(佐賀錦)があります。観光面では、年間300万人の参拝客が訪れる日本三大稲荷の祐徳稲荷神社や古くから酒造りが盛んで10万人が訪れる酒蔵ツーリズム(5酒蔵)、干潟上でのオリンピックと言われる鹿島ガタリンピックなどがあり、豊富な地域資源が本市の魅力となっています。2.地域循環共生圏の全体構想有明海を取り巻く現状は、赤潮、貧酸素水塊の発生により環境が悪化し、二枚貝をはじめとする干潟に生息する生き物の減少、漁獲量は低迷し、海苔養殖が主流となっています。こうした状況の中、有明海の人の営みと干潟生物の生態系との調和や干潟と干潟を支える鹿島市全体の自然との関係性を見つめなおし、将来の地域や子供たちに受け継いでいくためのあり方を考えながら、自然環境の保全・啓発・利活用を図ることを目的に「鹿島市ラムサール条約推進協議会」が発足しました。市が事務局となり、登録地後背池での農業従事者を会長とし、区長会、地区振興会、商工会議所、観光協会など産業団体、環境団体、佐賀大学等、約20名の構成メンバーに加え、活動を支えるSDGsパートナーとして県内金融機関やマスコミ、市内企業など50団体がプラットフォームを構築し、有明海の環境保全に取り組んでいます。環境と産業の調和から 有明海の再生に向けて!鹿島

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